研究課題/領域番号 |
20K03645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴雄 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60527208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | パンルヴェ方程式 / ワイル群 / 離散可積分系 / ガルニエ系 / 超幾何関数 / クラスター代数 / 可積分系 |
研究開始時の研究の概要 |
パンルヴェ方程式は動く分岐点を持たない2階有理型常微分方程式として古くから知られているが,この20年間でその様々な高階化及び差分化が発見された.それと並行して,大島による超幾何関数のフックス型線形常微分方程式の視点からの再構築が行われ,両者は相互に影響しあって現在も発展中である. 本研究では,様々な超幾何関数を高階パンルヴェ方程式の特殊解として捉えることで新しい視点を提供し,それらの数理構造をリー理論及びモノドロミー理論を用いて系統的に調べることで,微分・q-差分・楕円差分高階パンルヴェ方程式及びその特殊解としての超幾何関数に対する統一的な理解を目指す.
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研究実績の概要 |
昨年度の研究では,FST系と呼ばれる高階パンルヴェ系の対称性を,クラスター変異に由来する拡大アフィン・ワイル群の双有理表現(q-ガルニエ系と呼ばれるq-差分方程式系及びその対称性を与える)から適当な連続極限を取ることで導いた.この連続極限は,ハイネのq-超幾何関数(q-ガルニエ系の特殊解として現れる)からトマエの超幾何関数(FST系の特殊解として現れる)への連続極限をパンルヴェ系のレベルに自然に持ち上げたものとなっており,当初想定していた以上にワイル群がパンルヴェ系及びリジッド系の両方に深く関連していることが分かった.本年度の主な成果は,この結果を論文にまとめて数理解析研究所講究録別冊に投稿し,掲載決定となったことである.ただし,結果が得られた当初はFST系の新たな対称性を発見できたと考えていたが,津田及び研究代表者によって既に得られていた対称性と完全に一致することが論文作成の過程で判明した.新たな対称性の発見に至らなかったことは残念ではあったが,逆にFST系の対称性が既知のもので尽くされていることの状況証拠になっているとも言え,初期値空間の構成において基本となる重要な結果であることに変わりはないと考えられる. また,この3年間に得られた成果を元に,2023年6月にワルシャワ大学で開催された可積分系に関する国際会議(SIDE14.2)や2023年8月に早稲田大学で開催された応用数理国際会議(ICIAM2023)といった国内外の複数の学会・研究集会において研究発表を行い,好意的な評価を得ることが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の結果を論文にまとめて投稿する過程において,先行研究との関連付けの不十分さや証明における細かな不備などが判明し,その修正に想定以上の時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度取り組む予定であったFST系の初期値空間の構成を行いたい.具体的には,まず4階の方程式の場合に高野,笹野,竹縄などによる先行研究を参考にして具体的な座標の貼り合わせを与え,それを元にして代数幾何的構造を明らかにしていきたい. また,高階q-パンルヴェ系の分類についての研究も行いたい.具体的には,増田によって導入されたq-笹野系と呼ばれる系とq-ガルニエ系との同一性の問題が最近話題になっているので(連続極限を取った後のモノドロミー保存変形系としては別のものであると認識されている),これについて調べていきたい.
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