研究課題/領域番号 |
20K03649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
吉田 裕亮 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10220667)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非可換確率論 / 作用素環論 / 関数解析学 / 分布特性量 / 量子変形 / 変形独立性 / 作用素環 |
研究開始時の研究の概要 |
非可換確率空間における 独立性の概念を捉える方法として Fisher 情報量やエントロピーなどの分布特性量の変形が, これまで議論されてきた自由独立性と通常独立性を補間する q-変形独立性に関して如何に振舞うかを, まず Meixner 分布族に基づき調査し, 一般の分布特性量の場合へと発展させていく. これにより非可換独立性の新たな視点からの捉え方が得られ, 非可換独立性が持つ多様性の理解が深まると共に, 非可換確率論の他分野へのさらなる応用も期待される.
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研究実績の概要 |
本研究課題では, 非可換確率空間における独立性の概念を Fisher 情報量やエントロピーなどの分布特性量の視点から捉える新たな手法の開発を目指している. 特に, 自由独立性と通常独立性を補間する q-変形独立性に関して, 特性量の変形が如何に振舞うかを Meixner 分布族をテスト分布として調査を行っている. 令和 5 年度には、Ohio 州立大 (米国) の Stan 氏らとの共同で, 通常の独立性に基づく古典確率論における Meixner 確率変数の生成作用素、消滅作用素、保存作用素への量子分解の手法を与えた. これを q-変形分布に拡張することにより自由 Meixner 分布族との新たな補間手法が得られるものと期待される. また, 令和 4 年度から愛知教育大の淺井氏と行っている共同研究関連では, 2 係数 (q, s)-変形 Fock 空間上の変形 Poisson 分布に (q, s)-変形 Fock 空間の生成・消滅作用素の交換関係で特徴的なことは恒等作用素が s-変形することで qs-交換関係が構成され, 対応する変形 Poisson 作用素が構成されるが、特別な極限を取ると条件付き自由独立性に基づく, 自由 Poisson 確率変数が得られることも, 新たに分かった。本研究成果は学術論文として公開されてた. 加えて令和 5 年 10月には, オーガナイザのひとりとして研究集会「非可換確率論とその関連分野 NCPRF2023」を信州大学で開催し, 国内の関連研究者の最新の研究動向の調査を行うとともに関連研究を行っている大学院生への研究成果発表の支援も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数学の研究においては, 関連研究者との直接に対面での研究討議は非常に重要なプロセスである. 一昨年度までは, コロナ禍のため, この重要なプロセスの一部が実施できない状況にあったが, 令和 5 年度からは状況が改善され, 対面での研究会等に参加しての当該分野の研究動向の把握が, 遅延なく出来ているものと考えている. また愛教大・淺井氏との共同研究である 2 径数 (q,s)-Poisson 分布の量子変形は, その研究成果の取り纏めを完了し, 学術雑誌に投稿し査読中にある. さらに本共同研究と関連する自由 Poisson 分布の量子変形については, その高次モーメントの組合せ論的表示を与えることに成功し, その研究成果は, 既に学術雑誌に採録論文として確定し, オンライン公開がなされている. 加えて, Ohio 大学 (米国) の Stan 氏とは, コロナ禍の期間中オンライン研究討議を行って来た共同研究は,令和5年度に, その成果を学術雑誌に投稿を終えている. 本研究課題と関連してベータ分布族の自由類似と自由群の表現論との潜在的な関連性が示唆され, 現在その解明に取り組むなど, あらたな発展も見られることより, 本研究課題はおおむね順調に進展しているものと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
令和 6 年度の研究実施計画に関しては, 特に, 大きな研究計画を変更すべき事項あるいは研究を遂行する上での問題は発生していないものと考えている. したがって, 計画通り変形分布の特性量と独立性の関係についてさらに調査を進めていく予定である. またテスト分布族として重要である Meixner 分布族の変形と特性量の変形に関して, その対応を明らかにして行く予定である. また, 本研究課題に関する研究成果に関しては, 国際的な研究集会 (オンラインを含む) での発表を行うとともに, 国内外の関連研究者との研究討議の機会の確保に努め, 緊密な研究情報の交換を行う. さらに, 国内の関連研究の動向把握のための研究集会の開催も予定している.
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