研究課題/領域番号 |
20K03656
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神本 丈 九州大学, 数理学研究院, 教授 (90301374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 特異点解消 / 振動積分 / 局所ゼータ関数 / ニュートン多面体 / 可微分関数 / ベルグマン核 / D’Angeloの型 / セゲー核 / 特異点解消定理 / 代数曲線 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複素解析学や調和解析学などの重要な解析学の分野における重要な問題に関して、代数学や幾何学における重要な定理「特異点解消定理」を様々な形で応用することを目的とする。その際に、抽象的な理論の重要性もさることながら、具体的で定量的な情報が必要となり、それらは、関数の「ニュートン多面体」と呼ばれる非常にシンプルな幾何学的な情報から得られることを追求する。
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研究実績の概要 |
今年度は、可微分関数に関する局所ゼータ関数の解析接続と振動積分の漸近挙動に関して、特異点解消定理を用いて、多くの成果をえた。解析性を持たない場合の特異点解消に関する研究は、ほとんどされておらず、強い条件の下で、トーリック多様体を構成するという、野瀬氏と私の研究以外は、精密な結果は得られていなかった。昨年度から引き続く研究により、実2次元の場合に関して、ある種の特異点解消定理を一般に得ることができた。この定理の応用として、2次元の場合の局所ゼータ関数の有理型解析接続に関する、一般で最良の結果を与えることができた。この結果には、今までにないある種の不変量が使われており、非常に興味深いものであると考える。これらは、振動積分の漸近展開に関してもある種の情報を与えるものであり、現在その方面の研究は進行中である。 一方、最近盛んに行われている研究として、有理関数に関する局所ゼータ関数と振動積分の研究があるが、こちらの研究に関しても、水野氏と共同で多くの成果を得た。その際に重要となるのは、二つの実解析関数に関するニュートン多面体に関する情報である。我々は、新しく、2つの実解析関数のニュートン距離を導入し、居所ゼータ関数の極に関するものと、振動積分の漸近展開の主要項の決定に関する精密な結果を与えた。 多変数複素解析学において重要な積分核であるベルグマン核とセゲー核の境界挙動に関して、弱擬凸領域に関する一般的な結果を得て論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元の場合の可微分関数の特異点解消定理の結果を得ることができたことは、非常に大きな成果であった。この定理の応用として、局所ゼータ関数の解析接続や振動積分の挙動に関する問題に関する成果も同時に得られた。さらに、多変数複素解析学への応用も試みているものの、まだ十分な時間をかけた研究が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究には、二つの方向性が重要となる。 一つ目は、代数や幾何に関するもので、特異点解消定理を様々な解析に有用となるように、発展させることである。すでに、2次元の場合には、ある種の一般的な形の定理がえられているが、今後はトーリック多様体の理論との関連などが重要となる。 もう一つは、解析に関する問題である。上で述べた特異点解消定理が得られると、モデルとなる場合が明確となる。したがって、そのモデルの場合に関して詳細な解析が必要となる。すでに、局所ゼータ関数や振動積分に関しては、ある程度の結果が得られているが、さらに発展した結果が期待できる。さらに、多変数複素解析学への応用についても、今後考えていく予定である。
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