研究課題/領域番号 |
20K03664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
貝塚 公一 日本医科大学, 医学部, 講師 (30737549)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 対称空間 / スペクトル解析 / シュレディンガー作用素 / ディラック作用素 / 幾何解析 / 散乱理論 / 表現論 |
研究開始時の研究の概要 |
対称空間と呼ばれる等質的な幾何構造を持つ曲がった空間上で,電子の運動を記述するシュレディンガー方程式の解の性質を解析する.先行研究により,空間の測地線の分布の様子や幾何学的性質がシュレディンガー方程式の解を表す波の伝播の仕方と密接に関係していることが知られている.(高ランクの場合)非コンパクト型対称空間は無限遠方で角を持つ特殊な幾何構造を持っている.対称空間の等質性により,角の様子を対称空間の等長変換を用いて具体的に記述することが出来る.その具体性を生かして,対称空間が持つ無限遠方での幾何学的特異性とシュレディンガー方程式の解である波動関数の伝播の仕方の関係性を解明する.
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研究実績の概要 |
昨年度の研究で得た、非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の連続スペクトルの決定と、いくつかの特別な型の非コンパクト型対称空間上におけるディラック作用素の一様レゾルベント評価について、「日本数学会年会(2023年3月、函数解析学分科会)」において研究成果の報告を行った。また、非コンパクト型対称空間上のシュレディンガー作用素に対する一般化固有関数の無限遠での漸近解析について研究した。先行研究の論文Kaizuka (J.Funct.Anal.(2019))では、レゾルベントの漸近展開から一般化固有関数の漸近展開を導き、幾何学的散乱行列を考察した。先行研究では、非コンパクト型対称空間を動径方向にコンパクト化して、正則な点からなる球面の一部を無限遠と考えて幾何学的散乱行列と漸近展開を考察した。定量的なノルム評価に応用するには十分な解析ではあったが、非コンパクト型対称空間が持つ幾何学的な特異性を全て反映したものではなかった。そこで、非コンパクト型対称空間のMartinコンパクト化から得られる無限遠境界に関して、シュレディンガー作用素の一般化固有関数の漸近挙動を解析した。議論の途中で漸近解析の議論に一部形式的な部分があるが、結果としてMartin境界上で定義された(ある種の)幾何学的散乱行列を明示的に構築することができた。新たに得られた幾何学的散乱行列は、先行研究で得られていた散乱行列を正則な点からなる球面上からMartin境界上に連続拡張した作用素となることも分かった。新たに得られた散乱行列の幾何学的な性質については研究継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症を理由とした業務変更に対応するため、研究計画の初年度と次年度にやや遅れが生じていたが、その影響が今年度の研究に大きく影響し進捗状況に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究手法のより具体的な方向性と研究のために必要な技術的道具立てが明らかとなりつつある。また、一部の特別な性質を持つ非コンパクト型対称空間では既に結果が得られているため、関連する分野の先行研究の論文を参考にして議論の一般化を目指すことで、研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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