研究課題/領域番号 |
20K03665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
山崎 教昭 神奈川大学, 情報学部, 教授 (90333658)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 実函数論 / 関数方程式 / 仮似変分 / 最適制御 / 自由境界 / 非線形凸関数解析 / 発展方程式 / 仮似変分不等式 / 特異最適制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,地球温暖化問題,生物の多様性による生態系問題,癌浸潤問題など実社会が直面している諸問題の解決を数学の立場から試みる。実際,考察対象物の領域や幾何学的構造が数理モデルの解(未知関数)に依存して変化する非線形現象(数理モデル)の理論解析を行う。同時に,諸問題で現れる数理モデルを包括的に解明することができる数学理論(非線形作用素論、発展方程式論など)を構築する。そして,構築した理論の構造解析(位相的性質、解析的性質など)を行い,それらを応用することで未知関数依存構造をもつ非線形現象の動的メカニズムを理論的に明らかにする。それを数値実験で検証するため,実験手法の開発と実験の実施も試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は,仮似変分構造を持つ作用素が時間周期的に変化する仮定のもとで,時間周期的に変化する抽象仮似変分発展方程式論の定式化を行うとともに,時間周期解の構成に成功した。実際,仮似変分構造に対して強い条件を課し,またペナルティ項を付加した近似問題を利用することで,抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期解の存在を証明することができた。周期解の一意性については証明できていないが,本研究成果により,メモリー型や時間遅れ型に相当する非局所項を有する放物型仮似変分不等式(系)の時間周期制約問題に対する時間周期解を構成することができた。この解析方法は,今後,楕円・放物型抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期問題の解析にも利用できると予想している。加えて,抽象仮似変分発展方程式においては,エネルギー関数が未知関数に依存するため,エネルギーの消散性や解の一意性が期待できない。そのため,解の時間大域的挙動の考察が難しいが,今年度,抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期解の存在を証明することができたため,今後,時間周期解の構造を考察する過程で,抽象仮似変分発展方程式の漸近安定性を解析する方法論が見つかるのではないかと予想している。 一方,時間2階微分型の抽象仮似変分発展方程式論については研究が十分に進んでいない。そこで,これまで構築してきた解析方法を基盤とし,また変数変換法などを利用することで,時間2階微分型の抽象仮似変分発展方程式に対する弱解の構成に成功した。このことにより,これまで構築してきた抽仮似変分発展方程式論に対する弱解の概念の新展開が期待できると考えている。また,時間2階偏微分方程式系で記述される形状記憶合金の数理モデルの理論解析の進展が期待できるとも考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全世界的に新型コロナウイルス対策が緩和され,国際会議などが国内外で開催されている。それらに参加し情報収集するとともに講演を行うことができている。実際,感染症問題についての講演を聴講し,情報収集を行なったことにより,感染症数理モデルの理解を深めることでき,仮似変分構造を巧みに利用することで,感染症SIRSモデルの時間周期解が存在するための条件を緩和・拡張することができた。 また,仮似変分構造に対して強い条件を課することにより,抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期解を構成することに成功した。これまで未解決であった抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期問題を考察・展開する上で,非常に意義のある研究成果である。 以上のことから,本研究課題の進捗状況については「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行った研究テーマを継続して行い,さらに精緻な研究成果をめざす。 また,抽象仮似変分発展方程式に対する時間周期問題の新展開を目指す。実際,今年度得られた研究成果を基盤とし,解析方法を発展させながら,楕円・放物型や時間2階微分型の仮似変分発展方程式に対する時間周期解の構成を試みる。 加えて,次年度は研究期間の最終年度となるため,本研究課題のさらなる発展の可能性も検討する。
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