研究課題/領域番号 |
20K03673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小野寺 有紹 東京工業大学, 理学院, 准教授 (70614999)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 過剰決定問題 / 自由境界問題 / 発展方程式 / 陰関数定理 / 安定性解析 / 陰函数定理 / 非線型解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では過剰決定問題の剛性やその安定性を導く新たな手法として発展方程式手法およびその力学系解析を確立する.すなわち,放物型陰函数定理によって導かれる発展方程式から生成される力学系の大域的性質から元の過剰決定問題の解の存在性,一意性,安定性を導く. 特に,平衡点の力学的安定性が解の定量的安定性評価に対応し,ヘテロクリニック軌道の構成がFlucher-Rumpf予想の解決を導き,楕円型解または双曲型解による大域可解性が過剰決定問題の解の葉層構造の構成に対応する. 力学系のこれらの大域的性質を発展方程式の半群理論,調和解析,スペクトル解析とポテンシャル論の融合的解析によって明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題はBernoulliの自由境界問題,Serrinの問題を含む一般の過剰決定問題に対する解(未知領域)の存在・一意性や,境界条件の摂動に対する領域形状の定量的安定性を導出する統一的解析手法の確立を目標とする.特に発展方程式的解析手法を主眼に置く本研究課題では,これらの方法論によって,従来特別な場合にのみ与えられていた楕円型・双曲型という解の分類を一般の過剰決定問題に拡張し,それらの経験的分類が発展方程式の観点からは非常に明快な理解を与えることを示した.すなわち,従来の単に最大値原理との相性の良さ・悪さという観点だけでなく,ある解が楕円型・双曲型であることは,その解の周辺から初期値を選ぶ場合に対応する発展方程式が放物型か逆放物型であることに対応することを明らかにした.
さらに,正則性損失構造から従来解析が困難だった地球物理学における数理モデルであるBackus問題に関して,その双極子解の摂動問題を考察し,軸対称性の仮定下ではソボレフ空間では正則性損失が起こらないことを発見し,詳細なスペクトル解析を行うことで,その摂動問題の可解性を初めて得ることに成功した.一方,ヘルダー空間では正則性損失が起こり得るが,非線型項の特別な形から,重み付きシャウダー評価によって不動点定理が適用できることを発見した.本研究成果については現在専門雑誌へ投稿中である.
以上の研究を遂行するにあたって,新型コロナウイルス感染症の影響で,当初予定していた研究訪問・打ち合わせ等が遅延したものの,オンライン討論等を活用し遂行することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般の過剰決定問題に対する解の分類が成功するなど当初計画以上の結果が得られた. 一方で,大域解析についてはまだ完了しておらず,引き続き活発な研究活動を行なっていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画の目標である大域解析によるBernoulli自由境界問題における葉層構造をもつ自由境界の集中現象を導出するため,最終年度後半は集中的に研究時間を費やす.
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