研究課題/領域番号 |
20K03679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西谷 達雄 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80127117)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Bezout 行列 / 対称化行列 / 実効的双曲型特性点 / Tricomi 作用素 / Weyl-Hormander calculus / Bezout 形式 / 実効双曲型特性点 / 対角対称化行列 / Ivrii 予想 / 初期値問題 / 3重特性点 / ハミルトン写像 / Gevrey空間 |
研究開始時の研究の概要 |
P を斉次 m 階微分作用素とし,初期平面を固定して初期値問題を考える.このとき m-1 次以下の任意の微分作用素 Q について,P+Q に対する初期値問題が無限回微分可能な関数の空間で適切となるような P の構造を解明することが本研究の目的である.特に P のシンボル p の多重特性点で, p をハミルトニアンとするハミルトン方程式を線形化して得られる,ハミルトン写像が非零の実固有値をもつなら,初期平面を固定した初期値問題は,すべての低階について無限回微分可能な関数の空間で適切であるか,あるいは十分に広い Gevrey 空間で適切であるかどうかを明らかにすることを目標とする.
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研究実績の概要 |
考察を 3 階の微分作用素に絞りこの作用素の主シンボルが初期面の上で重複度3の特性根をもち,この特性点が実効的双曲型である場合,すなわちこの点における Hamilton 行列が非零の実固有値の対を持つ場合を研究した.この 3 階の微分作用素に対する初期値問題を 3x3 の一階の方程式系に書き直すとき主シンボル p と p' のBezout 行列はこの系を対称化する.さらにこの Bezout 行列を直交行列 T で対角化し,同時に T で未知変数を変換して新しい系に帰着させる.このときこの対角行列はこの新しい系を対称化する.この操作によって元の方程式は対角行列を対称化行列に持つ 3x3 方程式系に帰着される.このときBezout 行列が非負定符号であることからこの対角行列の成分は非負であり,最小の成分,すなわち Bezout 行列の最小固有値は p の時間余方向に対する判別式と p' の時間余方向に対する判別式の比で下から評価される. T は p の多重特性点では滑らかには選べないのでまず p に 2 階の摂動項を加え多重特性点を解消した.このとき一般には T は (1/2, 1/2) 型のシンボルになり通常の扱いは難しいので T の導関数の評価,これは摂動された Bezout 行列の固有値の評価とほぼ同等である,を詳しく調べた.この結果 T や Bezout 行列の固有値は摂動された p' の時間余方向に対する判別式を metric に取り入れた Weyl-Hormander culculus のシンボルクラスに属することが示せた.この Weyl-Hormander culculus を適用して局所化作用素に対するエネルギー評価を導くことに成功した..
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3 階の微分作用素については実効的双曲型特性点の周りに局所化した作用素についてエネルギー評価を導くことに成功した.このエネルギー評価はこの問題の当然の帰結として低階に依存して滑らかさを失うタイプのものであるがこのエネルギー評価から局所化作用素の初期値問題に対する一意可解性が示せるので少なくとも局所化作用素については Ivrii 予想の証明に成功した.ただし局所化作用素のエネルギー評価から元の作用素のエネルギー評価は通常の相空間上の単位分解からは得られない.
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今後の研究の推進方策 |
実効的双曲型特性点の周りに局所化した作用素についてエネルギー評価を導くことに成功したがこのエネルギー評価から初期値問題の局所可解性を示すには通常の相空間の単位分解の手法は適用できない.そこで局所化作用素の解作用素が超局所有限伝播の性質を持つことを示す.これが示されれば3 階の微分作用素について Ivrii の予想が証明できる.さらに局所化作用素の解作用素が超局所有限伝播性を持っていれば一般高階の作用素の問題を 3 階の作用素の問題に帰着できると考えている.
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