配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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研究開始時の研究の概要 |
楕円型偏微分方程式の正値解の対称性と非対称性に関する研究を行う. 特に全空間, 外部領域に対して, ディリクレ境界条件の下で群不変性を持つ正値解および群不変性を持たない正値解の存在と非存在についての研究を行う. 非線形項がソボレフの臨界指数を持つ場合や境界条件がノイマン境界条件の場合についても研究を行う. 特に, ノイマン境界条件で群不変性を持つ解を考察すると従来知られていた結果と異なる現象が期待できる. 群不変性を入れた場合, 群作用と境界の平均曲率の最大値の両方の関係によって, 解の最大点の位置が決まるものと推測できる.
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研究実績の概要 |
1. 2階常微分方程式の1種であるMoore-Nehari 微分方程式の境界値問題において, 零点を持つ解の研究を行った. 区間(-1,1)において両端で 0ディリクレ境界条件を満たす解の存在についての研究である. 解の対称性と非対称性に注目し, 指定された個数の零点を持つ解であり, 対称な解と非対称な解の存在を証明した. 従来では, (-1,1)区間における零点の個数を指定し, そのような零点の個数を持つ解の存在を証明する結果が主流であった. しかし, 本研究では, さらに詳しく, 与えられた自然数の組(m,n)に対して, 区間(-1,0)における零点の個数がm個であり, 区間(0,1)における零点の個数がnであるような解の存在を証明している. これは, 従来知られている結果よりも強い結果をもたらしている. この結果によって, 解の詳しい性質が調べられる. この結果は解空間が非常に複雑であることを意味する. 従来では, 区間(-1,1)に指定された個数の零点を持つ解の存在に関する研究がほとんどであり, 私の研究のような結果はなかった. 従って, 本研究はきわめて独創的な研究であり, 解空間の多様性を表すものである. 2. バナッハ空間において, Symmetric mountain pass lemma を適用すると, 非有界な臨界値の列が存在することが証明できる. この臨界値に対応する臨界点の列も非有界になるかという問題が考えられる. この問題に対して, 可分で無限次元のヒルベルト空間において, 汎関数に対して, 臨界値は非有界であるが, 臨界点の集合は有界になるような汎関数の例を作った. 従って, Symmetric mountain pass lemma から得られる臨界値に対して, 対応する臨界点の集合は一般に非有界とは限らないことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は3編の論文が査読付きの専門誌に掲載された. この結果を国際学会で講演発表する予定であったが, 新型コロナウイルスの影響でいくつかの国際学会は中止となった. 韓国プサンにおける研究集会で, 本研究の結果を発表した. また日本数学会で2回の講演を行い, 国内の研究集会では, 4回の講演発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
1. 文献, 専門雑誌, 本, 論文, インターネット上でのPDFファイルなどの情報を集める. 現在までに得られた研究成果を精査し今後の研究の基礎とする. また海外の研究集会(対面またはオンライン)に出席し, 自分自身の研究成果を発表することにより, 他の研究者の評価を受ける. これにより自分の研究水準が世界的基準からどのような位置にあるかを知ることができる. またその際に, 外国の数学者と情報交換をして, 現在の世界の数学の方向を知るとともに, 自分の数学の研究材料と情報を集める. 2. 国内の研究集会(対面またはオンライン)に出席して, 自分の研究成果を発表する. またその際に, 共同研究者と研究打ち合わせを行い, 今後の研究の進め方について討論し, 情報交換をする.
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