研究課題/領域番号 |
20K03688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
石井 仁司 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (70102887)
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研究分担者 |
熊谷 大雅 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70802081)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 関数方程式 / 粘性解 / 漸近問題 / 境界値問題 / 退化楕円型方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
1階非線形偏微分方程式、2階非線形楕円型及び放物型偏微分方程式に対する粘性解の理論と応用の研究を行う。微分方程式の弱解の一種である粘性解の重要性は40年近い歴史とこれまでの成果により検証されているが、一層の発展が望まれる。これまでの研究を基盤として、粘性解理論の新展開を図る。完全非線形偏微分方程式に対する漸近問題と境界値問題を中心に理論と応用の両面で粘性解の研究を進展させる。
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研究実績の概要 |
これまでの研究を基盤として、粘性解理論の新展開を図り、完全非線形偏微分方程式に対する漸近問題と境界値問題を中心に理論と応用の両面で粘性解研究を推進した。ハミルトン・ヤコビ方程式の連立系に対する割引率消去問題の研究を進め次のような成果を得た。割引率消去の極限に於ける連立系の粘性解の(部分列を取ることなく)全列収束が成り立つためには連立系の未知関数に関する凸性が必要であることを研究論文として出版した。割引率消去における凸性の必要性についての成果をより正確に言えば、未知関数に関する凸性を持たない連立系の例を挙げ、この例に於いて割引率消去の極限で粘性解が全列収束しないことを示した。この様な例はB. Ziliottoの論文に於いて陰に示されていたが、本研究では全列収束が成立しない見通しの良い新しい例を構成した。境界値問題について は、2次元ユークリッド平面における角のある領域に対する非線形ノイマン境界条件を持つ完全非線形退化楕円型境界値問題の研究を進めた。これまでの研究の詳細を再点検し、2次元平面に限定して粘性解に対する比較原理が成立するようなより広いクラスの境界条件を探求したが決定的な結論に至っていない。更に、正斉次ノイマン型境界条件に限定して研究を進めた。部分ラプラス(truncated Laplace)作用素を主要項とする微分方程式に対する粘性解と関連する積分方程式についての研究を行った。部分ラプラス作用素におけるラプラス作用素を分数冪ラプラス作用素に置き替えた方程式を対象に据え、非負粘性解の零集合の構造を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの本課題の研究により粘性解理論の基本的な課題への貢献及び漸近問題における貢献が出来た。しかし、主要な課題である角のある領域における非線形ノイマン型境界値問題、割引率消去問題、部分ラプラス方程式の解の性質の研究は完成度が不十分であり更に研究を進める必要がある。海外研究者の招聘による共同研究の遂行にも遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
境界値問題の可解性の研究として、特にノイマン型境界条件の研究を2次元平面上で集中的に研究して来たが、2次元の場合に正斉次ノイマン型境界条件の場合の研究を完成させ、さらに高次元空間での研究を進める。割引率消去問題に関して、完全非線形退化楕円型方程式に対するマザー測度の再検討を行う。2階の方程式に対してこれまでに導入された(一般化された)マザー測度は個々の方程式に対する依存度が強いので、いろいろな漸近問題への応用には困難がある。広いクラスの完全非線形退化楕円型方程式に対して同時に適用可能な一般化されたマザー測度の導入とその応用を図る。同時に分数冪ラプラシアンを含む微分積分方程式に対する割引率消去問題の研究を進める。部分ラプラス方程式の積分方程式版の研究を進める。特に半空間におけるリューヴィル型定理の確立を目指す。更に部分ラプラス方程式に対する粘性解の存在定理の完成を図る。海外研究者の招聘による共同研究の推進を図る。
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