研究課題/領域番号 |
20K03696
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松本 敏隆 静岡大学, 理学部, 教授 (20229561)
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研究分担者 |
渡邉 紘 大分大学, 理工学部, 准教授 (30609912)
小林 良和 中央大学, 理工学部, 共同研究員 (80092691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 安定性条件 / 発展作用素 / 生成定理 / 準線形問題 / 準線形方程式 / 線形発展作用素 / 生成作用素 / 初期・境界値問題 |
研究開始時の研究の概要 |
偏微分方程式の初期値・境界値問題を、方程式を考える空間と境界値の空間との積空間における初期値問題に書き換えて解の存在を示す手法が1990年に開発され、人口問題などの具体的な問題へと応用されている。この手法の特徴として、解を与える発展作用素の生成作用素の定義域が稠密でないことがある。本研究は、一般のバナッハ空間では未解決となっている生成作用素が時間依存する場合や準線形作用素の場合に発展作用素の存在を証明して、その結果を具体的な問題へ応用することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
時間に依存せず定義域が稠密でない準線形作用素に対する発展方程式の可解性について考察した。このような作用素は準線形初期・境界値問題を作用素論的に取り扱う際に現れる。現在投稿中の論文では時間依存かつ定義域が稠密でない線形作用素の場合を考察し、従来の安定性条件では扱えない回帰的バナッハ空間の場合にも対応可能な新たな安定性条件を導入して解作用素の存在を証明したが、この安定性条件の準線形作用素版に当たるものを導入し、その下での解作用素の存在証明について検討した。サイズ構造モデルに適用できるように条件設定を行い、現在近似解の構成を終えつつある。R6年度中に証明を完成を完成させて論文を投稿することを目指している。
研究分担者の渡邉は、白川氏(千葉大学), Moll氏(バレンシア大学)と共に結晶粒界現象を記述する3次元数学モデルを考察した。先ず、Kobayashi-Warrenにより導出されたエネルギーに対し、3次元回転の四元数表現を用いることによって制約条件を導出し、その勾配流としてモデル方程式を導出した。このモデル方程式に対し、適切な近似問題を設定することで解の存在を証明し、解の時間大域的挙動についても結果を得た。さらに、方程式の幾何学的表示を用いることで解の値域に対する不変原理も証明した。
研究分担者の小林は、完備距離空間におけるリプシッツ半群並びにリプシッツ発展作用素の一般的なクラスに対する生成定理の完成に向けて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
準線形作用素の場合の解作用素の存在証明のための準備である近似解の構成に手間取ったため予定よりも遅れている。結晶粒界現象を記述する準線形問題に関しては、3次元モデルを導出並びに解の存在を証明し、さらに解の値域に対する不変原理も証明しており、予定よりも順調に進んでいる。完備距離空間におけるリプシッツ半群並びに発展作用素の一般的なクラスに対する生成定理に関しては、その証明の完成に向けて検討を進めている。
以上の事から、研究計画全体としてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
準線形作用素の場合の生成定理の証明を完成させる。研究目的達成のため、引き続き研究分担者、研究協力者とともに各研究を進めると共に、研究集会等にも参加して最新の情報の収集と成果発表を行う。
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