研究課題/領域番号 |
20K03698
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前川 泰則 京都大学, 理学研究科, 教授 (70507954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 偏微分方程式 / ナヴィエ・ストークス方程式 / 境界層 / Navier-Stokes方程式 / 漸近解析 / 流体力学 / 解の漸近挙動 / 特異極限 / 安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
流体方程式に対する特異極限問題に関連した,次の研究を行う.I.粘性消滅極限における境界層の安定性:Navier-Stokes方程式の粘性消滅極限問題について,一般の凸非シアー型境界層の粘性消滅極限における安定性をGevrey指数3/2クラスの関数空間で実現することを目指す.II. 橋脚周りの流れの安定性:橋脚周りの川の流れのように一様背後流の中に長い柱状物体をおいた際に現れる接触点を伴うOseen流に関する自由境界問題の数学解析を行う.一様背後流が遅い場合の平衡状態の一意存在定理とその擾乱に対する安定性定理の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、Navier-Stokes方程式の境界層に関連した数学的研究を行った。流体と固体壁との相対速度が零となる粘着境界条件が満たされる場合には、境界付近において高いReynolds数を反映したPrandtl境界層が典型的に現れ、境界層に潜在する強い微分損失構造により、境界層近傍において解の定量的評価を確立することが難しくなる。境界層構造を記述するPrandtl方程式の改良版としてTriple deckモデルが知られている。このモデルの線形化問題の時間局所可解性について、凸shear型の境界層の周りにおいては、Gevreyの3/2クラスでの可解性が成り立つことを証明し、国際共著論文としてまとめて査読付き国際誌に受理された。さらに、Triple deckモデルの定常問題について研究を行い、特殊解であるクエット流のlocal rigidityを示すことに成功した。証明では、方程式の持つ自然なスケール臨界空間を足掛かりにするとともに、鉛直方向の一次増大項からくる困難を取り除く変換を導入するとともに、方程式に付随する非局所境界条件に由来する楕円型平滑化効果を見出したことが大きな鍵となっている。これまでのところTriple deckモデルの定常問題に関する数学的な結果はほとんど知られておらず、本研究が先駆的なものになると思われる。この研究成果は、共著論文として査読付国際誌への投稿を準備している。このほか、外力付きの定常問題の可解性を調べるために必要となる関数空間の設定についても考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固定壁近傍の流れにおいて現れる境界層と関係するTriple deckモデルの定常問題に進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
境界層のTriple deckモデルの定常問題については、外力がある場合の可解性といった基本的な問題が未解決なので、研究を進めている。昨年度に得られたlocal rigidityの証明で得られた知見を活かせると思われる。また、Navier-Stokes方程式の初期値問題の解の非一意性を境界層の立場から研究することは意義深いと思われる。
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