研究課題/領域番号 |
20K03707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
立川 篤 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 嘱託教授 (50188257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 変分問題 / 弱解の正則性 / double phase / p(x)-growth / partial regularity / 解の正則性 / 変動する指数をもつ汎関数 / non-standard growth / double phase functional |
研究開始時の研究の概要 |
変分問題とはある「量」の極値,特に最小値を与えるような関数を求める問題を言う.例えば与えられた境界条件のもとで面積を最小とするように張れる石鹸膜の形状は,面積という「量」に対する変分問題の解となっている.一般に変分問題の解はある微分方程式の解となっていることが期待され,そのため微分可能性が期待される.本研究の目的はDouble phaseと呼ばれる,場所によって性質が大きく変わるタイプの「量」に対する変分問題の解が十分な微分可能性を持つことを示すことにある.
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研究実績の概要 |
2022度に引き続き,double phaseタイプと呼ばれるタイプで,変動する指数を持つタイプの汎関数の最小点を与える写像の正則性に関して研究した.具体的には,(|Du|のp(x)乘)+a(x)|Du|のq(x)乘もしくは(|Du|のp(x)乘)+a(x)(|Du|のp(x)乘)log(1+|Du|)の積分で与えられるタイプの汎関数を扱っている.ここで,Duはm-次元ユークリッド空間の有界領域Ω上で定義されn次元ユークリッド空間に値を持つ未知関数uの微分,p(x), q(x), a(x)はいずれもΩ上で定義された連続関数で,q(x)は各点でp(x)以上,p(x)は1より真に大きく,a(x)は0以上の値を取る関数とする.以下,前者をp(x)-q(x)タイプ,後者をp(x)-p(x)logタイプと呼ぶ. 2020年度よりCatania大・Ragusa教授との共同研究でp(x)-p(x)logタイプの汎関数の最小値を与える写像の正則性を研究していたが,未知関数の微分のヘルダー連続性まで得ることができた.論文としてまとめ,現在投稿中である. 一方,p(x)-q(x)タイプの汎関数について, |Du|をx,uに依存する係数行列によるDu の2次形式A(x,u)DuDuの平方根で置き換えたタイプの汎関数を研究し,部分正則性に関する結果を得ることができた.この結果が論文としてまとめ Nonlinear Differential Equations and Applications (NoDEA)に掲載された. 以上2つの研究に一応の区切りがついたので,次の目標として,p(x)-q(x)タイプの汎函数部分正則性について,特異点集合の次元に対する評価の改良,p(x)-p(x)logタイプの汎函数に対する部分正則性等の研究を始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響もほとんどなくなり,Catania大・Ragusa教授等との共同研究を進めようとしたが,2023年度は都合がつかず,直接対面での研究連絡はできなかった.しかし,すでに同教授との共同研究はだいぶ進んでいたこともあり,当初の予定よりは遅れはしたが,なんとか論文としてまとめることができた. 一方,当方単独で行った部分正則性に関する研究に関しては,ほぼ予定通りに結果を得ることができた. 全体として,本課題研究の目標としての次のステップに移るタイミングがやや遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目標のうち,p(x)-q(x)タイプに対する部分正則性,p(x)-p(x)logタイプに対する正則性に関しては結果を得ることができた,次のステップとしてはp(x)-p(x)logタイプに対する部分正則性,境界上での正則性を考えている.さらには,double phaseでないp(x)タイプに対する部分正則性に関する結果から類推して,p(x)-q(x)タイプに対する部分正則性の結果における特異点集合の次元に対する評価が改善される可能性もあり,この方向でも研究を進めていきたい. 今年度は本課題研究の次のステップへ進むため,新たに海外の優秀な若手研究者ともコンタクトをとり,招聘の予定である. 研究の進捗状況がやや遅れておるため,状況が許せば研究期間を延長して当初の目的を達成させることも視野に入れている.
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