研究課題/領域番号 |
20K03720
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
千葉 周也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (80579764)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 閉路分割 / 道分割 / 次数条件 / 禁止部分グラフ条件 / 有向閉路詰込み / ハミルトン閉路 / 有向閉路分割 / 有向道分割 / グラフ理論 / 有向グラフ / 二部グラフ / グラフの詰込み / グラフの分割 |
研究開始時の研究の概要 |
無向グラフの詰込み・分割問題は、逐次区間交換論法や部屋割り論法等を用いた手法を中心に古くから研究されている。近年では、グラフクラスを制限した詳細な解析やグラフマイナーとの関係性も研究されている。そのような代表的手法と新たな視点によって発展を遂げている中で、無向グラフ上の結果をどのように有向グラフ上へ拡張していくのかが現在の大きな課題となっている。本研究では、申請者のこれまでの研究をもとに、二部グラフとグラフマイナーの視点から上記手法の拡張について考察することで、有向グラフの詰込み・分割問題に対する汎用性の高い新手法の確立とそれによる未解決問題の解決を目指す。
|
研究実績の概要 |
(1) 二部グラフ上の指定された個数からなる閉路および道分割に対する次数条件 2005年のEnomoto-Liによる「指定された個数からなる閉路または位数2以下の道によるグラフの分割」に対する次数条件の結果を、二部グラフ版の結果に改良することに成功した。特に、2021年度に得られた研究成果における手法(2023年度にDiscrete Appl. Math.から出版(「10.研究発表」参照))を利用することでその分割に対する最良な条件を与え、本研究で構築中の詰込み・分割に対する新手法の汎用性の向上を実現することができた。さらに、2017年のChiba-Yamashitaによる「指定された個数からなる閉路による二部グラフの分割」に対する次数条件の結果を、Amar型の条件(Discrete Math., 1993)に改良するための手法を提案することに成功した。 (2) (有向)グラフにおける閉路、道および星による分割と禁止部分グラフ条件 (有向)グラフ上の閉路分割数、道分割数および誘導星・誘導道分割数と禁止部分グラフ条件の関係を明らかにし、その結果とGyarfas-Sumner予想との関係性や派生する種々の関連結果など、グラフの分割問題に対する新たな知見を得ることに成功した。また、その研究成果を学術雑誌(Appl. Math. Comput., 2023)等を通して発表した。 (3) 指定された頂点と指定されたマッチングを通る閉路に対する次数条件 有向グラフ上の閉路分割問題に対する新たな研究の方向性の検討を目的に、グラフにおける指定された頂点または指定されたマッチングを通る閉路に関する既存の研究成果の精査を行った。特に、それら既存の結果の共通の一般化として、指定された頂点とマッチングを同時に通る閉路の存在性に対する最良な次数条件を与えることに成功し、学術雑誌(Discrete Math., 2023)を通してその研究成果を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) (研究実績の概要で述べたように)「指定された個数からなる閉路または位数2以下の道による“二部”グラフの分割」に対する最良な次数条件を与えることに成功し、さらには「指定された個数からなる閉路による“二部”グラフの分割」に対する次数条件に関する既存の結果を、Amar型の条件に改良するための手法を提案することに成功した。有向グラフと二部グラフの関係性(下記(2)も参照)を踏まえると、これらの結果は有向グラフの詰込み・分割問題に対する新手法の理論的枠組みを構築する上で重要な研究成果となる。また、これまでの研究では非隣接な頂点対すべてを対象とする次数条件を多く扱ってきたが、後者の研究成果によってより広いグラフクラスに適用可能な、つまりより汎用性の高い手法の構築が今後大いに期待される。
(2) 有向グラフ上の閉路は、マッチ可能な(つまり完全マッチングをもつ)二部グラフ上の交互閉路に言い換えることができる。したがって、2023年度に実施した「指定された頂点と指定されたマッチングを通る閉路」に関する研究を二部グラフ上で考察することにより、有向グラフをさらに一般化したグラフクラスに対する閉路分割問題など、本研究課題をさらに拡張した問題の提起やそれに対する新手法の構築が今後期待される。
以上のことから、2023年度に得られた研究成果は本研究課題の解決およびその発展に繋がるものだと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) 現在までに得られた手法の汎用性の向上を目的に引き続き他の類似問題、特に2018年のChiba-Yamashitaによる「グラフ上の閉路(または道)詰込みおよび閉路(または道)分割」に対する次数条件のサーベイ論文に掲載されている未解決問題とその発展問題について考察するとともに、これまでの研究成果をもとに有向グラフ上の詰込み・分割問題に対する汎用性の高い手法の理論的な枠組みを構築する。また、2023年度の研究成果をもとに、二部グラフ上の指定された要素を通る閉路による分割や指定長の閉路による分割など、本研究課題の拡張可能性について考察することで本研究のさらなる発展を目指す。
(2) これまでに得られた研究成果のうち未発表のものも含めて、本研究課題に関連する成果を学術雑誌や国際・国内会議(遠隔参加も含む)を通して他の研究者に広く周知する。それにより、他研究者と最新の研究情報の交換を行い、本研究課題の問題点・研究方針について議論する。
|