研究課題/領域番号 |
20K03723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤沢 潤 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (00516099)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 完全マッチング / マッチング拡張 / 3-正則グラフ / フラーレングラフ / 因子問題 / マッチング拡張性 / フラーレン / ハミルトンサイクル / 位相幾何学的グラフ理論 / グラフ理論 / 位相幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
グラフ理論は離散数学における主要な研究分野の1つであるとともに、コンピューターネットワーク・電子回路・神経回路等のグラフを用いて抽象化される事象・現象の解析や、そのアルゴリズムの実用化といった工学的視点からも重要視されている研究分野である。本研究では、近年顕著に研究が進展している「距離拡張性」の理論を用いて、グラフの因子問題や関連する未解決問題に取り組む。
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研究実績の概要 |
本年度は、2部グラフでない3-正則グラフに関して研究を進めた。以下、得られた成果の概要について述べる。 Plummer(1991)は、cyclically 4-辺連結な3-正則2部グラフにおいて、2辺から成る任意のマッチングが拡張的となることを示した。3-正則グラフにおいては、ある頂点の近傍の3点それぞれを端点とする3辺で拡張的でないものが存在するため、上記の定理はcyclical辺連結度の条件を強くしても、"2辺"という辺の本数は改善できない。一方、互いに距離が離れているマッチングに限れば任意の3辺以上のマッチングが拡張的になるということがAldred-Jackson(2007)によって解明された。具体的には、mが2以上のとき、cyclically(3m-2)-辺連結な3-正則2部グラフにおいて、互いに距離が5以上離れたm辺から成る任意のマッチングが拡張的となることが示された。 これらの結果は、対象となるグラフが2部グラフでない場合は、辺連結度を高くしても成り立たないことがAldred-Jacksonの論文において示されている。その際に用いられた例においては、グラフのほとんど全ての部分が2部的であり、その構造の中では上記と同様の性質が成り立つものの、限られた2部的とならない部分の辺を用いることで、互いに距離が離れているものの拡張的でないマッチングが構成されていた。そこで、マッチングの辺に「互いに距離が離れている」という条件に加えて「局所的に2部的となる」という条件を課すことで、Aldred-Jacksonの結果の拡張が得られるのではないかと考え、研究を進めた。その結果、「局所的に2部的となる」ということを表す条件の中で比較的強いものを用いれば、Aldred-Jacksonの結果と同様の事実が2部グラフでない3-正則グラフにおいて得られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、これまでにあまり進展が見られなかった、3-正則な非2部グラフにおけるマッチング拡張問題に関する知見が得られた。「局所的に2部的となる」という条件を用いるアプローチの有効性が明らかになった上、その条件の与え方はさまざまであり、今後の研究の広がりも期待できる。そのため、本研究は着実に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
「局所的に2部的となる」という条件が有用であることが明らかになったが、現時点では適用している条件が強く、Aldred-Jacksonの結果の拡張を得るに至っていない。今後は、条件設定を多角的に行うことで、Aldred-Jacksonの結果の拡張となる事実を解明したい。
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