研究課題/領域番号 |
20K03725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
池田 宏一郎 法政大学, 経営学部, 教授 (60332029)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | モデル理論 / 安定性理論 / ジェネリック構造 / Lachlan予想 |
研究開始時の研究の概要 |
ジェネリック構成法とは,1980年代後半にHrushovskiにより開発された,有限構造から無限構造を作る方法であり,モデル理論における重要な構成法のひとつである.この構成法が開発された当初,多くのモデル理論研究者が,ジェネリック構成法を用いてLachlan 予想の反例を作ろうとしたが,その試みは誰も成功していない.本研究では,従来のジェネリック構成法の可能性と限界を見極め,新たな構成法を構築することを目的とする.そして,新たに得られた構成法を用いて,Lachlan 予想に反例を与えることを最終目標とする..
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,モデル理論の未解決予想であるLachlan予想の解決に近づくことにある.研究代表者は,解決に近づくための道具として,ジェネリック構成法と呼ばれる手法が重要であると考える.ジェネリック構成法とは,有限構造を貼り合わせて無限構造を作る方法であり,Hrushovskiはこの方法を用いて,真に安定な可算範疇的構造を作った.研究代表者は,Hrushovskiの方法は簡略化できると考え,その結果を,2023年12月に京都大学数理解析研究所で開催されたRIMS共同研究「モデル理論における独立概念と次元の研究」において発表した.発表内容は論文としてまとめられ,RIMS講究録に掲載予定である. その後,この方向の研究はさらに進み,有限構造の集合で生成されるクラス,という考え方に発展した.ジェネリック構造は有限構造のクラスKを貼り合わせて作るが,さらにそのKが生成集合をもつ場合を考える.このアイデアにより,Hrushovskiの構成法を単に簡略化するだけでなく,あらたな無限構造を構成できる可能性がでてきた.この結果は,2024年3月に大阪公立大学で開催された日本数学会年会で発表された.一方,有限構造の様々な性質を調べる分野として有限モデル理論がある.この分野の話題で特に0-1法則はジェネリック構成法と深く関係している.そこで,有限変数無限論理の0-1法則について調べ,得られた結果を2024年3月に高知工科大学で開催されたModel Theory Workshop 2024で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は,ジェネリック構成法を用いて,Lachlan予想の解決に近づくことであるが,コロナ禍の影響があり,研究集会における研究打合せなどが予定通り行うことができなかった.よって,2023年度に予定していた,新たな構成法の有効性とその検証,を行うことができなかった.実際,昨年度は,予定していた海外研究集会の参加は一度もできず,国内研究集会に参加できたのは2023年12月からであった.オンラインを用いた研究打合せも数回試みたが,思うような成果を出すことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響により本研究の期間延長は2度の及んだが,オンラインで研究集会に参加することにより,研究は少しずつであるが進んでいる.実際,有限構造の集合から生成されるクラスKからジェネリック構造を作る,というアイデアは,Lachlan予想の解決につながるのではと考える.その目標に近づくには,国内外のモデル理論研究者の客観的視点が必要となる.よって今年度は国内外の研究集会に対面で積極的に参加し,研究打合せを行い,この分野の研究者の意見を多く取り入れたい.そしてそのための研究環境(PC,タブレット,書籍,など)を整えたい.
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