研究課題/領域番号 |
20K03731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
今村 悠里 金沢大学, 数物科学系, 助教 (40633194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 確率過程 / 到達時間 / 分布の対称性 / 対称変換 / 数値計算 / 確率微分方程式 / 確率分布 / 対称性 / Carr-Nadtochiy 変換 / 拡散過程 / バリアーオプション |
研究開始時の研究の概要 |
市場の原資産価格を表した時間とともに確率的に動くモデルを用いて,将来の時点(満期)に原資産を売買する金融商品の価値を評価する.本研究では,その中でもバリアーオプションと呼ばれる,原資産が現時点から満期までにある価格を上回る(または下回る)条件を加えた契約について解析する. バリアーオプションの支払いが経路に寄っており,また近年主流となっている価格過程モデルが複雑であることから価格評価は具体的に得ることは難しい.本研究では価格過程の対称性に着目することにより包括的な理論の構築を行い,バリアーオプション価値の数値計算手法を開発する.
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研究実績の概要 |
本研究は確率過程がある範囲に到達する時間の分布を得ること,および分布の対称性を明らかにすることを目標としている.分布の対称性に着目することにより,金融商品や保険などの様々な指標に対して効率的な数値計算手法を開発することができると期待している. 金融市場における債権などの価格や,保険会社が発行する商品の保険料収入と保険金支払いの総和について,将来の決められた期間内にある値に到達するかということは,投資家や購入者と,発行者のいずれにとっても知りたい情報である.この情報を使って,会社のリスクを知ることや,リスク量に関する商品を作ること,また支払い条件を付けた金融派生商品であるバリアーオプションなどが考えられるが,そのためこれらの価値や指標を理論的に得ることが求められている.つまり対象とするモデルを確率過程としてモデル化し,その到達する時間の分布を計算することが求められている.しかし金融市場の価格過程モデルにおける到達時間分布は一般には知られておらず,数値計算として求める方法が使われている.本研究ではこれらの数値計算手法を改善するため,分布の対称性を明らかにすることに取り組んでいる. 今年度は次の3点について取り組み,成果を論文として発表した. (1)与えられた分布と時間変更されたブラウン運動の分布が一致するようになる停止時間を構成するAzma-Yorアルゴリズムの具体例を提案(2)ブラックショールズモデルにおけるValue-at-Riskを与え,さらにCEVモデルにおけるValue-at-Riskを最小にするポートフォリオについて数値実験を与えた(3) 債権投資を考慮した保険料収入と保険金支払いの総和における, Gerber-Shiu関数の満たす微分方程式を与え,Gerber-Shiu関数が得られる例と数値実験例を与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確率過程の到達時間分布について,skorokhod embedding 問題との関連があることに注目し,到達時間と分布との関係性について新たな結果を得ることに成功した.この結果は当初の計画ではない新たな見解であるため,本研究は計画以上に進展しているということができる.
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今後の研究の推進方策 |
確率過程のCarr-Nadtochiy 変換を多次元に一般化するため,離散時間確率過程によるCarr-Nadtochiy 変換を明らかにした.この離散時間過程によって、連続時間過程を近似することによりCarr-Nadtochiy 変換の一般化を目指す.近似の収束問題について,まずは一般化拡散過程におけるCarr-Nadtochiy 変換を導くことが重要であると考え,現在この問題について取り組む.
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