研究課題/領域番号 |
20K03732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮寺 隆之 京都大学, 工学研究科, 教授 (50339123)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 量子論基礎 / 一般確率論 / 量子測定 / 量子確率 / 量子情報 |
研究開始時の研究の概要 |
量子論において最も原始的な操作である量子測定について、どのような操作が同時に実行可能かという同時操作可能性の問題を研究する。これまでこの同時操作可能性は主に定量的な面から研究が行われてきたが、これを構造的な側面から研究を行うことが本研究の特徴である。具体的には、1)操作空間の順序構造に焦点をあてガロア接続の概念を援用して行う研究、2)操作空間の凸集合性に焦点をあて同時操作可能な組と不可能な組を隔てるアファイン超平面の構成を行う研究、3)検証可能性に焦点をあて同時操作可能性の拡張を行う研究、4)応用として一つ一つの操作に対して物理的限界を求める研究、の4つの研究を遂行する。
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研究実績の概要 |
本年度は、複数の新しいテーマに着手した。一つは、保存量のある場合についての量子測定過程を徹底的に調べることである。これはM.Hamed Mohammady氏とL.Loveridge氏との共同研究で行った。これまでの知見を統一、拡張する広範な結果が得られており、現在投稿中である。特に、Wigner-Araki-Yanaseの定理について、(有限次元の場合における)かなり一般化された定理が得られたことは特筆すべきことである。また、熱力学の第三法則が量子測定にどのような制限を与えるかについても、Hamed Mohammady氏との共同研究で行った。これまで得られていた理想測定の不可能性にとどまらず、さまざまな操作が不可能であることが厳密に証明できた。また、操作論的観点からの第三法則の定式化ともいうべき、新しい見方を導入することもできた。本研究によって得られた結果も、論文に投稿を行い、Physical Review A誌に掲載された。更に、R.Takakura氏との共同研究により、一般確率論におけるプログラミング不可能性定理に関する研究も行った。量子論では、複数のユニタリー発展をプログラムするためには、その数だけ識別可能な状態が必要なことが知られている。本研究では、まず一般確率論においてプログラミングとはどのように定式化されるかを考え、そして異なる自己同型写像のプログラミングには、やはり完全に識別可能な状態が必要であることを定理として示している。また、自己同型とは限らない写像に関するプログラミングも新たに考え、正多角形の状態空間をもつ系において、その近似的プログラミングの限界も定量的に示した。この結果は、Journal of Mathematical Physics誌に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初には予想していなかった新しい話題へとも広がりを見せるなど、おおむね順調である。特にM. Hamed Mohammady氏という新しい共同研究相手を見つけたことは、今後の発展においても大きなプラスとなるだろうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、同時操作不可能性を主軸としながら、それにとどまらず熱力学との関係や、場の理論との関連などを探っていきたい。特に、熱力学と量子測定の関係についてはM. Hamed Mohammady氏との共同研究を中心に進め、第三法則だけではなく、特に第二法則の与える影響についても考える予定である。
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