研究課題/領域番号 |
20K03747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 明治大学 (2022) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
中野 直人 明治大学, 先端数理科学研究科, 特任准教授 (30612642)
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研究分担者 |
石塚 裕大 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (50761136)
宮路 智行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20613342)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遅延座標系 / 代数幾何学 / 次元縮約 / 埋め込み理論 / データ駆動型解析 / ランダムネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
遅延座標埋め込みとは,力学系の変数のうち限られた観測変数の時系列データから全体の力学系の情報の抽出を試みる手法である.これに対して本研究では,代数幾何の縮約理論を用いて,互いに逆操作である「観測による次元縮約」と「埋め込みによる力学系の復元」の間の関係性を数学的に明らかにすることで遅延座標埋め込みの理解の深化をめざす.さらに,この力学再構成の手法を用いて時系列データのデータ駆動的な予測モデルを構築し,その有効性の検証やデータ同化手法の導入による予測プロセスの精緻化も検討する.
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研究実績の概要 |
本研究では前年度までから引き続き,力学系に従って得られる時系列データから,力学系を再構成する手法を理論的に構成する手法について研究を行った.本課題で提案している遅延座標埋め込みによる力学再構成手法と代数幾何学の消去理論を統合した正規方程式を導出するモデリング手法について研究を行った.正規方程式を縮約して得られるモデルから,モデル復元として本研究で提案しているブローアップ手法を用いた場合に,必ずしも元の式に戻るとは限らない問題がある.その場合の元のモデルと復元で得るモデルとの関係性を調べた.本研究におけるアルゴリズムは,モデリング対象のデータが生成された力学系が,多項式モデルではなく有理式で与えられる場合でも適用可能であり,結果として高次元空間における正規方程式を与える.見かけ上自由度が高くなるが,補助変数を付加したことで次元を拡大した空間でモデリングしていることになっているため,実用上,データ駆動的にモデルを得る場合には注意が必要であることがわかった.さらに,ランダムネットワークと遅延座標系を組み合わせたデータ駆動モデリング手法による時系列予測タスクの性能評価に取り組んだ.これは,力学系の再構成において高い予測精度を達成するネットワーク構造を探索することを目指すものである.予測精度や構成したモデルのリアプノフ指数を元の力学系と比較することで,力学再構成の評価を行い,提案手法の有効性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は当初計画に沿う形で,ランダムネットワークに学習能力に関する研究成果を挙げられたことが主な理由である.研究代表者の機械学習的手法の知見と,研究分担者らの持つ力学系と代数幾何学の知見を合わせて得ることができたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はこの3年間で得られた成果に基づき,力学系の縮約と復元に関する数理科学的研究とそれに基づくデータ解析を行う.データから観測変数で閉じた方程式の導出と,そこからの元の力学系の再構成の数値検証が主な目的である.また,力学系の縮約と復元の枠組みを機械学習手法と組み合わせることで,ランダムネットワークと遅延座標系を組み合わせたモデルに対する学習可能性の数理的描像を調べることにする.
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