研究課題/領域番号 |
20K03748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (40232227)
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研究分担者 |
高坂 良史 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (00360967)
上田 好寛 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (50534856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 平均曲率流 / Willomore 流 / 表面拡散流 / 閾値型近似アルゴリズム / Willmore 流 / 正則性 / 閾値型アルゴリズム / 特異性 / 曲率流 / 近似アルゴリズム / 粘性解 |
研究開始時の研究の概要 |
平均曲率や表面拡散のような、幾何学的形状による量によって動く曲面・曲線の研究は数学的な研究だけでなく、数値解析的な研究や物理・生物等へ応用の研究も盛んに行われている。本研究では曲面・曲線のトポロジーの変化にも追従できる閾値型近似アルゴリズムと呼ばれる近似問題の収束やそれを用いて動く曲面・曲線の性質を研究する。具体的には以下のとおりである。(1) 平均曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムの数学的な正当性の研究 (2) 表面拡散流や Willmore 流に対する閾値型近似アルゴリズムを定式化し、その数学的な正当性の研究 (3) (1) の結果を応用して平均曲率流の正則性・特異性の研究
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研究実績の概要 |
石井は Willmore 流に対する閾値型近似アルゴリズムの研究を行った。4 階熱方程式や 2 階の導関数をもつ 4 階線形放物型方程式の解を用いて閾値型近似アルゴリズムを構成した後、解の挙動を詳しく調べることによって、その解を用いて得られる閾値集合の性質がかなり精密な形で得られた。また、その境界近傍での解の勾配評価や第 2 次偏導関数の詳しい評価を導した。更に、法線方向速度に関しても時間変数についてのオーダーを評価した。これらの結果を用いて最初の 1 ステップだけではあるが、閾値集合の境界が Willmore 流の近似になっていることを示した。そのときの剰余項も評価した。
高坂は曲面の表面積 (曲線の場合はその長さ) が一定という条件が課された Willmore 流に対して、4 階線形放物型方程式を用いた閾値型近似アルゴリズムの研究を行っている。平均曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムとは異なり、比較原理や順序保存性が成り立たないので、このアルゴリズムにうまく適合したエネルギー汎関数を定義し、それを用いることでアルゴリズムの収束を証明する必要がある。そこで、閾値集合を定義する関数を基にしたエネルギー汎関数を定義し、その性質等を研究を進めている。
上田は時間遅れの項をもつ常微分方程式系に対して今までに知られていない漸近安定性に関する条件を導き、人口移動や神経回路網に現れる時間遅れの項をもつ常微分方程式系に応用し、解の安定性を得た。時間遅れの項をもつ Burgers 方程式に対する時間大域解の存在とその漸近挙動を研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Willmore 流に対する閾値型近似アルゴリズムの研究については 4 階熱方程式や 4 階線形放物型方程式の解の性質を調べることが重要である。しかし、2 階熱方程式や 2 階線形放物型方程式の場合に比べて研究の蓄積が少なく、2 階の場合とは根本的に異なる部分もあり、2 階の場合にはほぼ自明、あるいは証明が容易であること (例えば、解の一意性や順序保存性) でも面倒な証明が必要である。また、解の各点評価やエネルギーの評価をする場合、かなり高い階数の導関数まで計算しなければならず、必然的に計算量が多くなることも理由の1 つである。
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今後の研究の推進方策 |
Willmore 流に対する閾値型近似アルゴリズムついては若干ではあるが進展が見られたので、それらの結果を基に収束の証明を研究する。また、空間曲線からなる曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムの収束の証明にも取り組む。
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