研究課題/領域番号 |
20K03751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川崎 英文 九州大学, 数理学研究院, 名誉教授 (90161306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ボルスク・ウラムの定理 / 対心定理 / 非線形最適化 / ハムサンドウィッチ定理 / 不動点定理 / ゲーム理論 / レフシェッツの不動点定理 / 中間値の定理 / アダマールの定理 / ポワンカレ・ミランダの定理 / 凸解析 / アダマールの零点定理 / 劣微分 / マルコフ・角谷の共通不動点定理 / 離散不動点定理 / 展開形ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
非協力ゲームでは利害が対立する複数のプレイヤーがそれぞれの利得を最大化する戦略を考える.このとき,プレイヤーの間に均衡が存在するかどうかが基本的な問題であり,ナッシュはブラウワーの不動点定理を用いて,混合戦略の中に必ず均衡が存在することを示した.近年,離散不動点定理の研究が進み,研究代表者は単調写像,縮小写像,方向保存写像の離散不動点定理を用いて純戦略均衡を研究してきた.本研究では,ブラウワーの不動点定理より強力なレフシェッツの不動点定理を用いることにより,新たな均衡の概念を提示し,その存在を保証する条件を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究は代数トポロジーを用いることにより連続写像や離散写像の不動点定理を研究し,それらのゲーム理論,最適化理論への応用を図ることを目的としている.前年度までの研究ではブラウワーの不動点定理やそれと同値なポアンカレ・ミランダの定理を用いたが,2023年度はそれらより強力なボルスク・ウラムの定理を用いた.2023年度の研究成果は以下の(1)(2)である. (1)ボルスク・ウラムの定理の応用としてはハムサンドウィッチ定理,ネックレス分割定理などがよく知られている.ハムサンドウィッチ定理の手法を参考に,パラメトリックな非線形最適化問題の最適値関数に対してボルスク・ウラムの定理を適用することにより,非線形最適化問題に対して対心定理を与えた.さらに,目的関数として内積をとることにより,ハムサンドウィッチ型の定理を与えた.その研究成果を京都大学数理解析研究所,日本オペレーションズ・リサーチ学会,情報・統計科学シンポジウムで発表し,論文2篇を英文誌に投稿し,内1篇が掲載された. (2) (1)の研究では集合値写像を用いてパラメトリックな非線形最適化問題を定式化した.ボルスク・ウラムの定理を適用するには,最適値関数が連続をでなければならない.その連続性を保証するために強い仮定を設ける必要があった.そこで,(1)とは別のパラメトリック最適化問題を導入し,弱い仮定の下で対心定理を与えた.ここでも目的関数として内積をとることによりハムサンドウィッチ型の定理を与え,(1)のハムサンドウィッチ型定理との関係を明らかにした.その研究成果を日本オペレーションズ・リサーチ学会で発表し,論文1篇を英文誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き,京都大学数理解析研究所の研究集会で1件,日本オペレーションズ・リサーチ学会で2件,情報・統計科学シンポジウムで1件,研究成果を計4件発表した.論文1篇が英文誌に掲載され,京都大学数理解析研究所講究録に和論文1篇が掲載された.その他,2編を英文誌に投稿中である.このように,本研究課題の進捗状況は順調である.
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今後の研究の推進方策 |
ハムサンドウィッチ定理はn次元ユークリッド空間のn個のコンパクト集合に対して,それらの体積を同時に2等分する超平面が存在することを主張する.本研究で与えた2つのハムサンドイッチ型定理は集合幅を同時に2等分する超平面が存在することを主張する.それに加えて,研究実績の概要(2)で述べたハムサンドイッチ型定理は,n個のコンパクト集合に対して,ある中央値を基準に任意の評価が可能なことを主張する.これは従来のハムサンドウィッチ定理にはない新しい結果であり,その一般化を推し進める.研究成果を日本オペレーションズ・リサーチ学会,日本数学会,京都大学数理解析研究所の研究集会等で発表する予定である.
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