研究課題/領域番号 |
20K03762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀 健太朗 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (30535042)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 超対称ゲージ理論 / 線演算子 / コンパクト化 / 境界条件 / 超対称局所化 / 次数制限則 / サイバーグ双対性 / 射影双対性 / 双対性 / ミラー対称性 / 超弦理論 / ブレーン配位 |
研究開始時の研究の概要 |
異なる方法で定式化された理論が実は等価であるという「双対性」と呼ばれる現象は場の量子論、弦理論の発展において重要な役割を果たしてきた。本研究は、2,3,4次元における超対称ゲージ理論が双対性とコンパクト化によってどの様に関係しているのかを理解することを目標としている。特に2次元(2,2)超対称非可換ゲージ理論のミラー対称性を3次元N=4超対称非可換ゲージ理論のミラー対称性から導き、さらには4次元超対称ヤン・ミルズ理論の電磁双対性とも関係づけたい。また、2次元のサイバーグ双対性のもとでの境界状態の対応関係を用いて3,4次元のサイバーグ双対性のもとでの線演算子や面演算子の対応関係を理解したい。
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研究実績の概要 |
2,3,4次元における超対称ゲージ理論が双対性とコンパクト化によってどの様に関係しているのか、特に、異なる次元の理論の演算子(局所演算子や線や面などに台を持つ高次元演算子や境界条件など)がどの様に対応するのか、を明らかにすることが本研究の目的である。令和5年度は3次元超対称ゲージ理論における線演算子および2次元超対称ゲージ理論の境界条件に関して以下に述べる研究を行った。 これまでの研究で演算子を分類する方法としての「状態・演算子対応」の理解を深めていたが、それをさらに精密化させ、3次元理論のBPS線演算子と円上にコンパクト化した2次元理論のBPS境界条件の間に一対一対応の関係があることを突き止めた。また、この関係を定量的に表す方法の一つとして、線演算子が挿入されている3次元球面上の分配関数を超対称局所化の方法を用いて計算し、その極限としてコンパクト化した理論の2次元半球面上の分配関数を導き出す研究に着手した。以上は研究協力者の末武佑涼さんと共同で行った。 また、2次元超対称ゲージ理論の境界上の自由度に対する次数制限則について新たな理解が得られた。次数制限則は半球面上の分配関数を表す積分が収束する条件から導出するが、これまでの研究では積分経路はベクトル多重項の境界条件を決定するもので、特にWeyl変換のもとで不変でなければならないと考えていた。ところがRodland模型における幾つかの道に沿ったDブレーンの輸送においてはWeyl不変な積分路の族が存在しないことを証明した。このことは積分経路がベクトル多重項の境界条件を決定するものであるという解釈が成り立たないことを意味する。これによりその解釈がもたらす様々な問題が解消されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3次元超対称理論における「状態・演算子対応」の一つとして線演算子のコホモロジー類とトーラス上の状態のコホモロジー類との対応関係があることを元に、トーラス上の一般の状態の全体と超対称性の作用を詳細に調べていたが、線演算子に対応する状態は2次元共形場の理論における境界状態と同様の整数性を持たねばならず、むしろ円上にコンパクト化した理論における境界条件との対応とみなした方が良いことが分かった。このことに気付くのに時間を要してしまったことが遅れた理由として挙げられる。また、3次元理論のウィルソン線演算子に対する次数制限則を2次元理論における理解を元に研究する予定であったが、2次元理論自体の新しい発展(積分経路のWeyl不変性に関する問題と解決)に力を注ぐことになり、3次元理論の研究に着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、線演算子が挿入されている3次元球面上の分配関数を超対称局所化の方法を用いて計算し、その極限として2次元半球面上の分配関数を導き出す研究を進める。その結果から3次元理論のウィルソン線演算子に対し次数制限則を課すべきかどうかを判定したい。また、3次元理論の双対性の元での線演算子の対応関係を2次元に落とした場合の境界条件の間の対応関係から読み取りたい。3次元ミラー対称性から2次元の非可換ゲージ理論におけるミラー対称性を導出する研究への応用も考えている。ミラー理論のスーパーポテンシャルが何であるかは既に決定済みであるがケーラーポテンシャルが未だ導出されていない。3次元理論から落としてきた2次元理論の半球面上の分配関数を用いてこれを決定したい。
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