研究課題/領域番号 |
20K03765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小林 未知数 高知工科大学, 理工学群, 准教授 (50433313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非平衡統計力学 / 一次相転移界面 / 局所平衡の破れ / 大域熱力学 / 量子渦 / 中性子星 / p波超流動 / 量子渦分子 / トポロジカル欠陥 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子乱流 / 分数量子渦 / 渦分子 / 非平衡相転移 / 量子流体 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル欠陥とは、様々な系において普遍的に現れ、長い寿命を持つ高エネルギー状態であり、例えば転位(固体)、転傾(液晶)、磁壁(磁石)、量子渦(超伝導)、などがある。またクオークやハドロンなどの素粒子も実はトポロジカル欠陥の一種ではないかという理論的予測もある。大規模なコンピュータシミュレーションを用いることによって、このようなトポロジカル欠陥が現象全体を支配するような系や事例を探索し、トポロジカル欠陥の正体を明らかにするための足がかりにしようとするのが本研究の主な目的である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、様々な系において普遍的に現れ、長い寿命を持つ高エネルギー状態であるトポロジカル欠陥に着目し、その新奇な物理現象を探索することである。令和5年度では平衡状態において1次相転移を示す系において、2つの相を隔てる相転移界面存在し、かつ系が非平衡状態にある状況について、普遍的に現れるであろう新奇な構造を具体的なモデルを用いて調べた。 一般的に非平衡状態において、平衡状態から極端に離れているような状況でない限りにおいては、系の一部分に注目したときに平衡状態の統計的性質を満たすであろうと期待され、局所平衡仮設と呼ばれている。上述した相転移界面などが存在せず、系が空間的に連続的に変化する場合にはこの局所平衡が正しいであろうことが線形応答理論などから支持されているが、相転移界面などで系が不連続に変化する場合にはその限りではない。本研究では、マクロスケールにおいて1次相転移を示すミクロモデルから出発し、大規模数値シミュレーションを用いることにより、熱流下において1次相転移界面の界面温度が、平衡状態における相転移温度からずれることを明らかにした。この結果は1次相転移を示すごく普遍的な系において、局所平衡が破れることを示したことになる。また界面温度の相転移温度からのずれは熱流の値、すなわち非平衡の強さに比例することも示した。上記の結果は、一般的に温度が空間的に異なる非平衡系を、単一の代表的な温度を設定して平衡状態の熱力学を拡張して記述する大域熱力学の予想と定量的に一致することも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究内容は、研究計画で本来計画したものであり、かつ結果は大域熱力学との定性的な一致のみであったが、定量的な一致まで得ることができ、期待される予想以上のものが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って研究を進める予定である。具体的には非平衡状態において本来は動的に安定に存在し得なかったトポロジカル欠陥がどのような条件において、かつどのようなメカニズムにおいて安定化出来るのかを調べ、その結果を元にして新しい非平衡相転移を探索する。
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