研究課題/領域番号 |
20K03768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣川 真男 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70282788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 量子ラビ模型 / 深強結合領域 / シュレディンガーの猫状態 / 強結合極限 / 超対称性 / 自発的超対称性の破れ / ヒッグスポテンシャル / 質量生成 / 仮想粒子 / 実粒子 / シュレディンガーの猫風状態 / 光子 / 回路量子電磁力学 / 一般化されたラビ模型 / 2次の相互作用 / 人工原子 / 原子・光間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,最近の回路量子電磁力学の深強結合領域における実験結果に対し,そこに介在する光子を解析し,シュレディンガーの猫的量子もつれ(SCQE)状態形成の数理物理学的構造を明らかにする.SCQE状態を形成していると思われる基底状態から光子を取り出すために,仮想光子から実光子への転化の数理構造の解明を本研究課題の核とする.この数理的研究を通し,光子を自然放射する事の無い基底状態から如何にして光子を観測するかを数理物理学的に考え,回路量子電磁力学の理論物理学,それを検証する実験物理学へと繋げることを目指す.
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研究成果の概要 |
回路量子電磁力学における人工原子と1モード光子の間に働く相互作用の深強結合領域に対する数理的研究を行った.数理モデルとして,量子ラビ模型と,これに2次の相互作用を加えたものの強結合極限を調べた.その結果,2次の相互作用の有る無しにより,量子ラビ模型が違った様相を見せ,それは仮想ボーズ粒子の影響によるものであると結論付けた.この結果を基にして,量子ビットと相互作用する仮想ボーズ粒子の数理モデルが,超対称性からその自発的破れへ向かう相転移を示す理論へと発展させた.特に,自発的超対称性の破れが起こる数理構造と,ボゾンの状態のみならずフェルミオンの状態にも質量生成をもたらすことを証明した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題で,量子ビットと相互作用する仮想ボーズ粒子の数理モデルを超対称性からその自発的破れへ向かう相転移を示す数理模型へと発展させた.ボーズ粒子に関する2次の相互作用が無い場合に,清華大学の実験チームがこの数理模型による理論予想の幾つかを実験検証したと報告したが,本研究課題の結果に基づけば,そこで扱った2次の項を実験的に実現すれば,自発的超対称性の破れによる質量生成をも観ることができるかもしれない.この実験結果が報告される迄は,超対称性とその自発的破れが物理的実在なのかは未解決であったが,超対称性粒子を探す巨大施設ではなく,超対称性量子力学を実験室で検証する可能性を示唆できたように思う.
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