研究課題/領域番号 |
20K03777
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
野々村 禎彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (30280936)
|
研究分担者 |
富田 裕介 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361663)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 温度スケーリング / 非平衡緩和法 / クラスターアルゴリズム / 量子相転移 / 希釈系 / モンテカルロ法 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はさまざまな物理モデルのモンテカルロ非平衡初期緩和を「クラスター非平衡緩和法」で解析してきた。引き延ばされた指数関数型の時間発展が臨界点では広く見られることを見出し、緩和初期から平衡状態までを一本の曲線で結ぶ「非平衡-平衡スケーリング」を提唱し、この緩和関数型を現象論的に導出し、非臨界領域に拡張した。この「温度スケーリング」には臨界指数が直接現れ、臨界点から離れて緩和も速まり、臨界現象の研究手段として有望である。また我々はクラスター非平衡緩和法を量子相転移に拡張する一方、温度変化を制御した緩和過程を温度スケーリング緩和曲線を用いて再構築することにも成功しており、幅広い応用が期待される。
|
研究成果の概要 |
クラスター更新モンテカルロ計算の非臨界領域の初期緩和データから臨界現象の情報を引き出す、クラスター更新版「温度スケーリング」を提唱し、古典スピン系では3次元ハイゼンベルクモデルの秩序化相転移・量子スピン系ではダイマー化した2次元量子反強磁性ハイゼンベルクモデルのネール-ダイマー量子相転移で検証した。非平衡-平衡スケーリングに基づいた臨界点直上の結果と合わせると、臨界点とすべての臨界指数を相転移のコントロール・パラメータによる微分で得られるゆらぎの大きな物理量を計算することなく評価できるようになった。特に量子スピン系では、非対角成分を含む物理量を計算する必要がなくなり、計算コストが大きく減った。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モンテカルロ法による相転移の研究は幅広い応用の可能性があり、効率的な計算手法の開発は意義深い。我々は、本来は長時間緩和を要する平衡状態の情報を緩和初期の振舞から得る手法を研究してきた。大域的な状態更新で緩和を加速したアルゴリズムにもこの手法が使えることを我々は示したが、本研究で転移点から外れた緩和データからも情報が得られるようになり、さらに効率化が進んだ。特に本研究の手法を量子系に適用すると、従来手法では量子効果を直接扱うことになり多大なコストを要していた計算が回避されるので非常に効率的である。
|