研究課題/領域番号 |
20K03778
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
桃井 勉 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (80292499)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | スピンネマティック相 / 量子相 / 隠れた秩序相 / 動的物理量 / 動的構造因子 / 核磁気緩和率 / 非摂動的有効ハミルトニアン / 熱容量 / 隠れた量子相 / 非摂動論的アプローチ / 有効ハミルトニアン / フラストレート磁性体 / 量子液晶 / カゴメ格子 / 対称性 / アノーマリー / スピンネマティック / 液晶 / 隠れた秩序 / ジャロシンスキー-守谷相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
フラストレート磁性体におけるスピンネマティック状態はスピン秩序が存在しないスピン液体的状態でありながらスピン複合自由度がスピン対称性を部分的に破る隠れた秩序を持つ液晶的な相です。これまで、SU(2)対称なフラストレート強磁性体やSU(4)対称性を持つ模型で、スピンネマティック相の出現が明らかなってきた。しかし実際の磁性体は相互作用の異方性により対称性が低下している。スピンネマティック相出現に対称性の変化が与える役割を明らかにし、対称性の低下におけるネマティック秩序の形成条件を理論的に解明する。様々な候補物質における、ネマティック相の出現・不出現の違いを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
1.スピン系におけるスピンネマティック秩序相は、磁気ブラッグピークの欠如と、スピン四極子秩序に起因する部分的なスピン回転対称性の破れに特徴付けられます。最近の実験で、SrCu2(BO3)2にスピンネマティック状態と期待される隠れた状態の存在が示され、注目が高まっています。スピンネマティック状態を実験で特定することは難しいですが、動的な物理量はその特定において有望であると考えています。 我々は、三次元量子スピン系における磁場中のスピンネマティック状態の動的性質を、マグノンとマグノン対の2成分ボソン系の理論を構築することにより調べました。この結果、動的構造因子はいかなる運動量と周波数においても発散する特異性を示さず、またスピンネマティック秩序の構造に関する貴重な情報を1マグノン励起の強度に含んでいることが分かりました。さらに、核磁気共鳴(NMR)緩和率が低温において温度の3乗に比例する温度依存性を示すことを明らかにしました。この振る舞いは、磁場中の反強磁性体と類似しています。また、スピンネマティック転移温度においてNMR緩和率が臨界的な発散をせず、カスプ状のピークを作ることを明らかにしました。ここで導入した理論的枠組みは、サイト上およびボンド上のネマティック秩序状態を含む広いクラスのスピンネマティック状態における励起スペクトルと動的性質に関する包括的な理解を与えました。
2.昨年度から開発を行っているクラスター展開を用いた非摂動的な低エネルギー有効ハミルトニアンの導出方法の有効性を数値計算により検証しました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピンネマティック状態の探査のために有効な基礎理論を構築することに成功し、この結果を出版論文として公表した。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究成果を国内外の学会で発表し、多くの研究者と議論を行うことで、スピンネマティック状態探査の研究を活性化したいと考えています。 また、フラストレート磁性体を含む量子多体系における低エネルギー励起状態を非摂動的に得る方法の構築を引き続き行い、その成果を論文として公表する予定です。
|