研究課題/領域番号 |
20K03789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
梶原 行夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 助教 (20402654)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 液体-液体相転移 / 水の熱力学異常 / 臨界ゆらぎ / 緩和現象 / 音波 / 非弾性X線散乱 / 音速 / 水 / 熱力学異常 / 比熱 |
研究開始時の研究の概要 |
液体の水に対して、広い温度圧力範囲(融点から500度、常圧から5000気圧)で音速の緩和強度測定を行いその相図を作成する。注目するのは、緩和強度と液体-気体および液体-液体の2つの相転移に対応した臨界現象との関係である。緩和強度の増大傾向から、液体-液体相転移の存在あるいはその臨界点の位置に関する議論を試みる。また比熱、圧縮率など熱力学量の相図と比較することで、緩和強度と熱力学の相関を議論し、水の熱力学異常の起源に迫るとともに、液体-液体相転移の相転移論としての位置づけを目指す。
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研究成果の概要 |
液体の水について、1万気圧、500度までの広い温度圧力領域における音速緩和強度の等高線図(温度圧力依存性)を作成した。2つの顕著な山状の増大を確認することができたが、この特徴は定積比熱の等高線図とほぼ一致していた。これは音波の緩和現象が比熱の起源であることを実験的に特定したことを意味する。2つの増大の起源については、高温域のものは液体-気体相転移臨界ゆらぎ、常温常圧付近の低温域のものは過冷却域に存在するとされる液体-液体相転移に対応した臨界ゆらぎによるものと結論づけた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水は最もありふれた液体ですが、熱力学特性は他とはかなり異なる「異常液体」で、未だそのメカニズムは十分には分かっていません。今回の研究では比熱の起源が初めて実験的に特定できており、非常に価値のあるものです。今後水あるいは水溶液などの熱力学特性の理解が進み、様々な方面への応用が期待できます。また学術的には、液体-液体相転移という新しいタイプの相転移について、既知の液体-気体相転移との類似点と相違点を整理して議論しており、今後相転移論の進展が期待できます。
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