研究課題/領域番号 |
20K03794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
神谷 克政 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60436243)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | チトクロム酸化酵素 / 分子動力学 / 分子動力学法 / プロトンポンプ / QM/MM分子動力学法 / プロトンポンプ反応 / 第一原理分子動力学計算 / 量子論的シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
地球上の生物は酸素を高効率に使うように進化してきた。現在の生物では、チトクロム酸化酵素が、酸素分子を水分子へと還元する反応をプロトンポンプと共役させることで、酸素還元の自由エネルギーをプロトンの濃度勾配の自由エネルギーに変換する。本研究では、酸素還元に伴う酵素の構造変化が局所的な事に注目し、この局所性が酸素還元反応で放出される自由エネルギーをポテンシャルエネルギーに効率的に変換させる鍵になると考えた。立体構造に基づく量子論的シミュレーションにより、プロトンポンプ反応機構の構造基盤を解明するとともに、進化の過程で同酵素が獲得した共役機構がなぜ高効率なのかという疑問に対する答えを探求する。
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研究成果の概要 |
地球上に酸素が大量に出現して以降、生物は酸化酵素や酸素添加酵素等のタンパク質を獲得し、酸素を使った有機物の燃焼や水酸化ができるようになった。本研究の目的は、地球上の生物が酸素を使うために進化の過程で獲得したチトクロム酸化酵素等のタンパク質が酸素を効率的に使うことができる構造基盤を解明することである。研究の結果、チトクロム酸化酵素には、タンパク質表面付近の構造のわずかな歪みがタンパク質内部にある酸素分子の輸送経路まで伝わることが示唆された。また、ステロイドホルモンを合成するチトクロムP450について、基質結合部位の空間的な形の違いが酸素添加の能力の違いを生み出す仕組みを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトのチトクロム酸化酵素は、進化の過程で細菌などの原核生物がもつ酵素に付加的なサブユニットが加わったため、近年ではサブユニット付近の結合を狙った抗菌剤の創薬標的の1つとしても注目されている。本研究で得られた知見は合理的な抗菌剤の開発に寄与することが期待される。また、ステロイドホルモンを合成するチトクロムP450に対して得られた本研究の知見は、ステロイドホルモンの過剰産生で起こる疾患に対する選択性の高い阻害剤の開発に寄与することが期待される。
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