研究課題/領域番号 |
20K03811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 直人 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90647752)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非平衡 / 時間結晶 / 超伝導 / 光物性 / レーザー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、固体中で時間結晶という新しい物質のかたちを実現することで、レーザー周波数を整数分の一倍に下方変調する新技術を理論提案する。時間結晶とは、時間に周期的な外場を加えたときに自発的に時間の(離散)並進対称性が破れて外場の周期の整数倍(周波数は整数分の一倍)で振動する状態のことである。非対称な電場波形を持つパルスレーザーをトレインにして繰り返し固体に照射することで、時間結晶の状態を固体で実現する原理の確立を目指す。この新原理を非平衡動的平均場理論をもとに実証する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、固体中での時間結晶の実現、およびそれを用いたレーザー周波数の下方変換技術の開発に向けて解析を行なった。解析の対象としては、電子間相互作用と電子格子相互作用を含んだ典型的な電子系のモデルであるハバード・ホルシュタイン模型を選んだ。系を駆動するためのポンプ光は古典的に扱い、放射される光は量子的だが摂動近似の範囲で扱った。非平衡動的平均場理論に基づいてモデルの時間発展を計算し、各周波数について放射されるフォトン数を2点相関関数の計算に帰着して求めた。その結果、ポンプ光によって駆動されることで、入射する光よりも放射される光の方が小さな周波数を持つストークス・ラマン光だけでなく、放射される光の方が大きな周波数を持つ反ストークス・ラマン光の強度が大きく増幅されることがわかった。この現象はハイパーラマン散乱と呼ばれる周波数混合プロセスによって説明することができ、光で駆動されたモット絶縁体の非熱的な準定常状態における電子分布の特徴を反映する。関連するテーマとして、超伝導体の自由エネルギーにリフシッツ不変量と呼ばれる対称操作で変化しない不変量が存在すると超伝導秩序が光に線形で応答することを見出し、それが現れるかどうかを判別する分類理論を構築した。特に、マルチバンド超伝導体においてバンド間の超伝導秩序の位相の差が振動するレゲットモードを媒介して超伝導秩序が光に対して線形応答することがわかった。そのほか、多層超伝導体における集団励起モードの解析などを行った。
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