研究課題/領域番号 |
20K03814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
青野 友祐 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (20322662)
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研究分担者 |
小峰 啓史 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (90361287)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 量子微細構造 / 核スピン / 電気伝導 / 動的スピン分極 |
研究開始時の研究の概要 |
量子ポイントコンタクト(QPC)は、ナノスケールの狭窄構造であり、半導体量子微細構造の基本構成要素である。このために、半導体を用いた量子情報処理には不可欠である。本研究では、QPCを流れる電流に起因した、電子スピンから核スピンへのスピン転送による動的核スピン分極(DNP)を扱う。特に、QPC近傍に形成されるDNP構造に注目する。様々な量子微細構造を用いて、DNPのコヒーレンスの創発・制御および計測を実現させる方法を追求する。
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研究実績の概要 |
NMR法を用いて電子スピンから核スピンへのスピン分極転送である、動的核スピン分極(DNP)を検出することが可能である。NMR信号を電気抵抗変化として検出する抵抗検出型NMR法が開発され、量子ポイントコンタクト(QPC)におけるDNP生成が検出されている。昨年度までに、QPC近傍のソース電圧側で下向きの核スピンが、ドレイン電圧側で上向きの核スピンが分極する双極子型の(QPC中心でゼロの)DNPを生成されるという、我々が以前に得た結果を数値的に再確認していた。QPC近傍における DNPについての数値計算による研究を継続した。 今年度は、QPCポテンシャル形状を変えた場合にDNPの様子がどのように変化するかについて注目した。その理由は、QPCの電気伝導においては、QPCのポテンシャル構造が反映されるためである。典型的なQPC構造においては、QPCポテンシャルをガウス型として扱い、その場合には、コンダクタンスのゲート電圧依存性のスロープの幅がポテンシャルの曲率を与える。QPCの形状がガウス型からずれたときの一つの例として、コンダクタンスのなかに量子干渉効果であるファブリー・ペロー振動が見られる場合がある。実際に、最近の実験において、ゲート電圧依存性のなかにファブリー・ペロー振動が観測されている。この場合には、QPCポテンシャルが量子共振器として働くような平らな構造をもっているとすると説明がつく。QPC構造が共鳴箱として機能して、擬閉じ込め状態が形成されるためである。QPC中央部に平らなポテンシャルをもつ構造に対してDNP構造の数値解析を進めた。その結果、DNPの構造においても量子干渉効果を反映した振動構造が見られることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子微細構造における動的核スピン分極について解明することを目的としているが、令和5年度は、量子ポイントコンタクトの動的核スピン分極についての数値計算に関する研究計画について、ファブリー・ペロー型の干渉効果を示す量子ポイントコンタクトにおける核スピン分極について数値計算を行い、核スピン分極において、量子干渉効果を反映した振動構造がみられることに関する知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画に基づいて、量子ポイントコンタクト(QPC)を流れる電流に起因した電子スピンによるQPC近傍における動的な核スピン分極のコヒーレンスの創発と制御に関する研究を推進する。
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