研究課題/領域番号 |
20K03817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 熱電効果 / 量子ホール系 / 熱電性能指数 / コルビノ型試料 / 3オメガ法 / 2次元電子系 / 1次元平面超格子 / 整合性磁気振動 / 量子ホール効果 / ハーマン法 / 熱伝導率 / 整合性磁気抵抗振動 / モットの関係式 / ヴィーデマン・フランツ則 / 2次元電子系 / 電子温度 |
研究開始時の研究の概要 |
量子ホール系で期待される巨大な熱電応答を実験的に探索する。コルビノ形状試料にて計算で予測される大きな熱電性能指数を実験で実証する。また、ペルチェ冷却現象を利用して冷凍機温度よりも低い電子温度を持つ領域を試料内につくる。これらの実証のために、磁場中2次元電子系の電子温度および熱伝導率を正確に測定する手法を開拓する。熱伝導率測定には、電子温度測定を利用する方法と加熱部からの熱流出測定により導出する手法を試みる。コルビノとホールバーの両形状の試料に対して測定を行い、量子ホール系で重要なローレンツ力による温度勾配の方位回転、および無散逸エッジ状態の熱電現象への役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
量子ホール系の巨大な熱電応答を探索するための測定法を開拓した。磁場中での熱伝導率の測定に応用し、電気伝導率との予測される関係を確認した。高磁場領域では、エッジ状態による熱流失の効果を明らかにした。コルビノ型の試料の無次元熱電性能指数ZTの解析的表式を導出し、100を超える大きな値を取り得ることを明確にした。1次元平面超格子の熱電テンソル、熱伝導率テンソルの解析的表式を導出し、磁場により温度勾配が曲げられる効果によりこれまでの実験結果の解釈を改める必要があることを明らかにした。熱電効果の理解に深く関わるホール抵抗の整合性磁気振動の初の観測に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開拓した磁場中2次元電子系の熱伝導率測定手法は電気抵抗の測定に通常用いられる測定装置のみを使用するため、比較的容易に測定を行うことが可能で、今後の量子ホール系の熱電変換や熱輸送現象の発展に大きく寄与することが出来ると考えている。人工的に異方性を導入した2次元平面超格子の研究は、従来あまり考慮されてこなかった、磁場により温度勾配方位が曲げられる効果の探索の有力な研究手段となる。コルビノ型試料の量子ホール系のもつ高い熱電変換効率は、将来的には効率的な廃熱利用に応用され、エネルギー問題・環境への負荷軽減に資する可能性を秘めているものである。
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