研究課題/領域番号 |
20K03839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 足利大学 |
研究代表者 |
高橋 大輔 足利大学, 工学部, 教授 (80415215)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 量子固体 / 転位 / 低温技術 |
研究開始時の研究の概要 |
固体ヘリウム4の転位運動およびそれに伴う剛性変化のメカニズムは転位論の古典動力学理論(Granato-Luckeの理論)と量子固体特有の原子多体交換の相互作用で説明されてきた。しかし,申請者らの研究から,固体中の転位(トポロジカル欠陥)の動的性質に関しては,清浄固体内であっても未だに十分な理解がなされていないといえる。 本研究では,単結自由な状態にした状態で圧縮応力を系統的に加え,せん断弾性率を測定する。これにより,すべり面以外の方向に対する転位の運動および自由度を議論し,量子固体中の転位運動とそのダイナミクスについて明らかにする研究である。
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研究実績の概要 |
固体ヘリウム4生成時に生じる転位(線状格子欠陥)は,量子固体である固体ヘリウム4の弾性率温度変化の原因となる古典的要素である。固体ヘリウム4中では,転位は10マイクロメートル程度の平均長さを持ちピニングされ,ピニング点を端点とした弦運動を行う。高温ではこの弦運動により固体ヘリウム4の弾性率は低いが,降温に伴い転位が固体内に不純物としてわずかに含まれるヘリウム3原子にピン止めされることで弦運動が抑制されて弾性率は上昇する。私を含む研究グループは定常回転下における固体ヘリウム4の弾性率測定において,臨界せん断応力(ピン止め保持力に対応)が印加された固体ヘリウム4に僅かな圧縮応力が加わることで,せん断弾性率が上昇する様子を観測した。この変化は圧縮応力による新奇な転位のダイナミクスの発現である可能性がある。本研究は,固体ヘリウム4の圧縮応力下のせん断弾性率を測定することで,固体ヘリウム4内の転位運動を検証し,制限空間内のトポロジカル欠陥の動的性質解明につなげることを目的で実施した。 当該研究を遂行するためには,固体ヘリウム4を生成するための極低温環境が必要となる。本研究ではGM冷凍機と極低温冷凍機を組み合わせた極低温環境の構築を目指していたところであるが,極低温冷凍機の製作に大幅な遅延が生じたことにより,1Kまでの冷却にとどまtっており,実験環境として十分な温度領域を確保するに至らなかった。一方で,測定用資料容器の作成は完了し,4Kまでの動作確認はおおむね完了している。 加えて,当該研究課題の主たる問題であるトポロジカル欠陥のダイナミクスについて,当固体ヘリウム内とは異なる環境ではあるが,清浄な究極液体である超流動ヘリウム4中における量子渦核生成の臨界速度についての考察を進展させた。
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