研究課題/領域番号 |
20K03841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 金沢工業大学 (2022) 早稲田大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
田中 康寛 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (50541801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 光誘起相転移 / トポロジカル絶縁体 / 円偏光 / シフト電流 / スピン軌道相互作用 / スピン偏極 / 時間依存シュレディンガー方程式 / フロケ理論 |
研究開始時の研究の概要 |
空間反転対称性を持たない物質に光を照射した際に現れるスピン偏極と、シフト電流と呼ばれる光誘起電流について調べる。従来、シフト電流はスピン自由度を持たない純粋な電荷の流れとして調べられてきた。これに対し本研究では、円偏光を用いてスピン自由度を導入することで、スピン偏極シフト電流が生じる可能性を調べる。具体的には、スピン軌道相互作用を持つ半導体やトポロジカル絶縁体などを対象に、時間依存シュレディンガー方程式やフロケ理論により微視的な計算を行い、スピン偏極シフト電流の生成可能性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
スピン軌道相互作用の強い半導体などにおいて、円偏光照射によってスピン偏極が起こることを示し、電子系のバンド構造の効果や、スピン偏極の光電場強度、振動数依存性を、数値計算およびフロケ理論を用いて明らかにした。特に、ミクロなモデルに基づいた計算によって、現象論や単純化された過去の理論結果が統一的に理解され、このスピン偏極がよく知られた逆ファラデー効果として解釈できることを示した。本研究では、シフト電流そのものの計算までには至らなかったが、得られたスピン偏極はフェルミ面近傍で生じることから、スピンに依存した電流が発生することが予想され、この点は今後の課題となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた円偏光誘起スピン偏極に関する成果は、古くから知られた逆ファラデー効果に関する過去の多くの理論を現代的かつ統一的な視点から捉え直すとともに、スピン偏極に対する電子系のバンド構造の影響といった、これまでにない知見を与えているという点で学術的な意義がある。さらに、我々が行った理論解析結果は、スピン軌道相互作用の強い半導体において観測が可能であると予測され、将来的に光で電子系のスピンや光誘起電流を制御するといった応用上の観点からも重要な結果と考えられる。
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