研究課題/領域番号 |
20K03845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
神戸 振作 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (40224886)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 隠れた秩序 / NMR / 一軸圧 / 重い電子系 / NQR / 多極子秩序 / 拡張多極子 / μSR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、最近、新しく提唱された拡張多極子秩序を微視的に検証し、拡張多極子物理領域を開拓することである。とくにNMR,mSR等の微視的実験プローブを用いて拡張多極子を確立する。
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研究実績の概要 |
今年度は、URu2Si2の拡張多極子の研究を行った。この超伝導化合物は17Kで隠れた秩序という未同定の秩序を示す。隠れた秩序はランク5以上の多極子秩序と考えられているが、最近の研究により、隠れた秩序状態の電子状態の対称性はいくつかの空間群に限られていることが分かっている。しかし、それらは同じ高い対称性を持つため、その区別は依然として困難である。そのため一軸圧力などの外場によって、隠れた秩序状態の対称性がどのように下がるかを見る必要がある。今年度は、一軸圧を[100], [110]方向にかけて斜方晶にしたときのRu-NQRの詳細な測定を実施した。その結果、斜方晶になることにより異方性パラメーターのイータが有限に現れること、その一軸圧依存は[100]と[110]方向で異なることを初めて見出した。 また、[100]方向に一軸圧をかけた場合は、0.3GPa付近で反強磁性秩序が現れ、RuのNQRスペクトルが二つに割れるが、[110]方向に一軸圧をかけた場合は反強磁性秩序が現れず、RuのNQRスペクトルが二つに割れないことが分かった。これは、グルノーブルでの熱膨張係数測定の先行研究の実験結果と矛盾しない。これは、[100]に一軸圧をかけた場合はU-Uボンドがダイレクトに短くなるが、[110]に一軸圧をかけた場合はU-Uボンドがダイレクトには短くならないことに起因すると考えられる。 また、Ruサイトの電場勾配は一軸圧で単調に線形に増大することが初めて分かった。線幅も同様に一軸圧で単調に線形に増大することが分かった。しかし[100]方向と[110]方向では増大の仕方が異なることも明らかになった。これらの結果は、中性子散乱の先行研究とコンシステントである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にあった過去3年間はサプライチェーンの停滞による物品購入計画の見直し等もあり、研究の進捗に遅れ生じたが、今年度においてはサプライチェーンの停滞も解消されたことから研究の進捗の遅れを取り戻し、当初計画に対して、おおむね順調に進展している。また、次年度も継続して研究が順調に進展すると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、URu2Si2の拡張多極子の研究のため、一軸圧下でのSi-NMRを行う。NMR核である29Si同位体の自然存在比は約5%と小さいため、まず、強いNMR信号を得るために29Si濃縮単結晶試料を作成する。その試料を用いて、[100]と[110]方向の一軸圧下でSi-NMRを実施し、隠れた秩序下でSiサイトに内部磁場が現れるかを検証する。これにより隠れた秩序の秩序パラメーターの同定を目指す。
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