研究課題/領域番号 |
20K03848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北 孝文 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20186224)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ボーズ・アインシュタイン凝縮 / FLEX近似 / ラティンジャー・ワード汎関数 / 南部・ゴールドストーン・モード / 臨界指数 / 汎関数繰り込み群 / 3点バーテックス / ワード・高橋恒等式 / 超流動ボーズ液体論 / 超流動 / 異常次元 / 繰り込み群 |
研究開始時の研究の概要 |
ボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)相は、自発的対称性の破れ、凝縮体の出現による巨視的コヒーレンス、および、ゴールドストーンの定理に従うギャップレス励起、などに特徴づけられる興味深い量子多体系である。この系に対する厳密な繰り込み群の方程式を、汎関数繰り込み群の手法を用いて導出することに成功した。そして、系の素励起が、長波長で線形分散を持つボゴリュボフ励起ではなく、異常次元を伴った臨界揺らぎであることも明らかにした。従って、BEC相の極低温における熱力学的性質には、様々な非解析的振舞が予想される。新たに導出した繰り込み群の方程式を用いて、BEC相の熱力学的性質を微視的に解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
相互作用する凝縮ボーズ粒子系について、密度などの揺らぎの効果を取り込んだ「揺らぎ交換近似(Fluctuation Exchange Approximation、略してFLEX近似)を構成した。FLEX近似は、フェルミ粒子系の銅酸化物高温超伝導体の性質を理解するために開発された。そして、転移温度Tcの定量的計算や、スピン揺らぎや密度揺らぎが電気伝導度などの物理量に及ぼす影響を解明するのに大きな役割を果たしてきた。この近似法を、ボーズ・アインシュタイン凝縮が起こったボーズ粒子系に拡張することに成功した。一般に、超伝導や強磁性などの秩序相を記述するには、グリーン関数と秩序変数を自己無撞着に計算する必要がある。これは、自発的対称性の破れを記述するには、秩序変数を非線形方程式で決める必要があるためである。しかし、ボーズ・アインシュタイン凝縮相については、秩序変数である凝縮波動関数がボーズ場そのものの期待値として現れるため、意味のある自己無撞着理論を構成することには大きな困難があることが明らかになっていた。この論文では、正常相の自己無撞着理論であるラティンジャー・ワードの自由エネルギー汎関数を、凝縮波動関数が出現する場合に拡張し、かつ、ゼロから連続的に立ち上がる励起エネルギーを持つように、すなわち、ゴールドストーンの定理と整合するように構成することに成功した。グリーン関数に対するダイソン方程式や凝縮波動関数を決定する方程式は、この汎関数についての停留条件により導くことができる。新たに導出された方程式は、平均場理論を超えた相関効果が、凝縮ボーズ粒子系の性質にどのような影響を及ぼすのか、その理論的解明に大きく寄与することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の成果は、ボーズ・アインシュタイン凝縮相の微視的な理論的記述に、大きく寄与すると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
得られた方程式を数値的に解いて、比熱や圧縮率の計算など、具体的な物理量の計算へと進んでいく予定である。
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