研究課題/領域番号 |
20K03855
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 雄介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20261547)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 量子スピン系 / スピンパリティー効果 / 容易面異方性 / 準位交差 / 準位反発 / カイラル磁性体 / カイラルソリトン / 量子性 / ジャロシンスキー守谷相互作用 / ペロン・フロベニウスの定理 / スピン・パリティー効果 / 結晶運動量 / ベリー位相 / 磁化過程 / ハルデイン問題 / ソリトン / 量子トンネリング / 擬南部ゴールドストーンモード / 核生成型連続転移 |
研究開始時の研究の概要 |
鏡写しの状態がもとの状態と異なるものをカイラル(またはキラル)という。カイラルな磁性体は、磁気モーメントの配置が連続変形では解消できない、捻じれ=ソリトンが粒子のようにふるまうことが知られている。磁性体をその集合体とみなすことで、磁場の下での相転移現象をよく記述できることも知られている。このソリトンはこれまで古典的な粒子として扱われてきたが、それが量子的な粒子であったらどのような性質を持つだろうか。量子的なカイラル磁性体の磁気的な性質がどのようなものかを調べるのが本研究の内容である。
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研究実績の概要 |
2023年度は、スピン系における新たな量子効果として、スピンの1サイト容易面異方性に由来する量子効果を見出した。スピンの大きさSが整数は半整数かによって、系の性質が定性的に異なることをスピンパリティー効果と呼ぶ。パリティー効果とは物質パラメターの偶奇性に依る現象を指すが、今の場合は2Sが偶数か奇数かによって、系の性質が異なるためにこれをスピンパリティー効果と呼んでいる。1サイトの容易面異方性が大きい場合には、整数スピン系は有効S=0模型に写され、半奇整数スピンはS=1/2の系に写される。そこにハイゼンベルグ型交換相互作用が導入されると、高次元の場合半奇整数スピン系は対称性の破れが生じ、ギャップレスの励起構造が現れる。一方整数スピン系は各サイトがスピン0の系なので、異方性エネルギー程度のエネルギr-ギャップがある。一次元の場合には、整数スピン系と半整数スピン系で磁化過程の振る舞いに違いが現れる。半奇整数の場合には多数の準位交差が現れ、整数スピン系の場合には準位反発で特徴づけられる。本研究で見いだされたスピンパリティー効果は、任意の次元で実現する点で重要性が認められる。高次元系では熱力学極限の励起スペクトルを見て判定することができ、一次元系では磁化過程におけるヒステリシスの有無によってスピンパリティー効果を見出せる。準位交差が多い半整数スピン系の場合、ヒステリシスが生じ、準位交差が主である整数スピン系の場合には、ヒステリシスが生じないことを用いればよい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度のカイラル磁性体における量子効果(スピンパリティー効果)の発見に続き、2023年度は、容易面異方性由来のスピンパリティー効果を見出し、学会発表、論文投稿を済ませている。原著論文は審査中であり、今年度中の出版が見込まれるため、おおむね順調な進捗と言える。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の論文の今年度中の出版を目指す。
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