研究課題/領域番号 |
20K03856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川本 正 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60323789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 有機伝導体 / モット絶縁体 / 構造相転移 / ドメイン構造 / 電荷秩序 / 反強磁性 / 超伝導 / 三角格子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
有機伝導体は多様な分子の配列パターンがあるが、分子が井桁状に並んだkappa型と呼ばれる配列は多くの超伝導体が見出されてきた重要な構造である。強い2量体構造のため2量体を1つの格子点とみなせ、これが三角格子を形成している。この三角格子の異方性と電子間のクーロン反発のバランスにより、超伝導や秩序をもたないスピン液体状態などが現れると考えられている。本研究では三角格子の異方性が極めて大きく四角格子になった物質や1次元の鎖になった物質の電子状態の解明をめざす。また、三角格子で超伝導になる分子層と電荷の濃淡がある分子層からなる新型構造の超伝導体の電子状態の解明することも目指す。
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研究成果の概要 |
ドナーとアニオンの比が1:1である「真性モット絶縁体」であるbeta-(BEDT-TTF)TaF6は狭いバンド幅であり、ネール温度10 Kの反強磁性状態になる。この物質と酷似した構造をもつzeta-(BEDT-TTF)PF6のバンド構造が1次元的であることが明らかになった。zeta-PF6はスピンパイエルス状態になるが、beta-TaF6は四角格子型のため反強磁性状態をとると考えられる。一方、異方性の強い三角格子をもつkappa-(BEDT-TTF)2TaF6は1.6 Kまで常磁性のままであるが、この物質に220 Kで構造相転移があることを見出した。低温では三斜晶のドメイン構造になる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モット絶縁体は固体物理分野において重要な研究対象であり続けている。本研究において得られた、「真性モット絶縁体」の実験結果や計算結果は有機超伝導の分野だけではなく、広く超伝導や強相関電子系の研究分野において重要であると考えられる。また、異方性の強い三角格子をもつダイマーモット絶縁体の構造相転移の発見は、低温のスピン状態との関連性の解明が期待される。
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