研究課題/領域番号 |
20K03861
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松岡 英一 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (20400228)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 単結晶育成 / ホール抵抗率 / 異常ホール効果 / 非従来型異常ホール効果 / ホール抵抗 / 希土類化合物 / 幾何学的フラストレーション / f電子系化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
フラストレーションを有する反強磁性体が示す非従来型の異常ホール効果(AHE)は、基礎と応用の両面から注目されているが、AHEに関する従来の実験研究は少数のd電子系を対象としており、理論研究との比較も十分ではなかった。強相関分野におけるf電子系とd電子系の相補性に鑑み、本研究ではフラストレーションを有するf電子系の新しい物質群であるR6Pd13X4 (R = 希土類, X = Zn, Cd) とR6Mg23Z (Z = 第14, 15族元素) についてAHEを系統的に検証する。そして、従来の研究との比較から、これまで十分には知られていなかったf電子系におけるAHEの性質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、フラストレーションを有する新しい化合物群であるR6Pd13X4 (R = 希土類, X = Zn, Cd) と、R6Mg23Z (Z = 第14, 15族元素) について、非従来型の異常ホール効果 (AHE)を系統的に検証することを目的としている。これまでに多結晶試料を用いたホール抵抗率の測定を、Ce6Pd13Zn4, Nd6Pd13Zn4, Ce6Mg23Ge, Pr6Pd13Zn4, Sm6Pd13Zn4, Pr6Mg23Ge, Nd6Mg23Ge, Ce6Mg23Siの八化合物について行ってきたものの、AHEは観測されていない。その理由として、AHEに異方性がある可能性が否定できない。すなわち、ある特定の方向に電流や磁場を印可した時にのみ小さなAHEの寄与がホール抵抗率が出現する場合、多結晶試料を用いた測定では方向が平均化されてしまうことでその寄与が見えなくなってしまう可能性がある。そこで今年度は、これら八化合物の単結晶試料作製と、そのホール抵抗率測定を試みた。 R6Pd13X4とR6Mg23Zのいずれも、まずMoをるつぼとして用いたブリッジマン法による単結晶作製を試みた。粉末X線回折の結果からは目的とする化合物が得られたことが分かったものの、背面ラウエ法による結晶軸方位の同定を行ったところ、0.5mm角以上の単結晶としては成長していないことが分かった。この大きさではホール抵抗率の測定が不可能であるため、引き続いてR6Pd13Xについて、融点の低いX = Zn, Cdを溶媒とした自己フラックス法による単結晶作製を試みたが、RとXとの二元化合物など、目的化合物とは異なる化合物の単結晶しか得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R6Pd13X4とR6Mg23Zのいずれについても単結晶試料が得られず、今後も得られる見込みが立っていないため、当初想定していたホール抵抗率の異方性測定、及びそれによるAHEの検証を行うことが不可能な現状を考えると、進捗状況がやや遅れていると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
単結晶試料が得られる見込みが立たないため、R6Pd13X4とR6Mg23ZのAHEの検証をこれ以上行うことが不可能である。そこで、これまで並行して行ってきた新物質探索によって見出した幾何学的なフラストレーションを有する六方晶化合物RTX(T = Ag,In,Pd、X = Mg, Pb)のAHEの検証を、研究期間を一年間延長して行い、希土類化合物のAHEに関する知見を得ることとする。
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