研究課題/領域番号 |
20K03864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
山内 一宏 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60444395)
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研究分担者 |
鄭 旭光 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40236063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ダイアモンド格子磁性体 / 幾何学的フラストレーション / ミュオンスピン回転/緩和法 / 量子スピン液体 / ランダムシングレット状態 / ミュオンスピン回転/緩和実験 / 磁性 / フラストレーション |
研究開始時の研究の概要 |
物質を構成するイオンが原子サイズのミクロな磁石として振る舞う物質を磁性体という。大多数の磁性体では、それらのミクロな磁石たちが互いに影響し合い(相互作用がはたらき)、ある空間配列パターンを持って秩序化する。我々の生活でも身近な磁石は磁性体の一種で、物質中のミクロ磁石たちが全て、あるいは、大多数が同じ方向を向き秩序化しているため、強力な磁力を持っている。ところが、フラストレート磁性体と呼ばれる一連の物質では秩序が生じず、これまでの磁性物理学の常識を覆すような振る舞いをしめす。本研究では、これまでフラストレート磁性研究の主流ではなかった、ダイアモンド格子磁性体と呼ばれる磁性体の詳細を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ダイアモンド格子磁性体CuRh2O4は、ダイアモンド構造を形成するCuイオンが磁気モーメントを持つ磁性絶縁体である。CuRh2O4は約23Kにおいてらせん磁気秩序を示すが、Cuの一部を磁気モーメントを持たないZnイオンに置換することで磁気秩序温度が低下し、Cuの44%をZnに置換すると磁気秩序が消失する。先行研究では、この磁気秩序の消失は、磁気モーメント間の相互作用が切断され長距離磁気秩序が消失する効果(パーコレーション)ではなく、フラストレーションの効果に起因するものであるとの指摘がなされていた。しかし、フラストレーションの効果が存在することを示す、直接的な実験的証拠は無かった。本研究では、CuRh2O4、磁気秩序が消失する直前のCu0.6Zn0.4Rh2O4, 磁気秩序が消失した直後のCu0.5Zn0.5Rh2O4の試料を作成し、ミュオンスピン回転/緩和(μSR)実験を行うことで、フラストレーションの実験的証拠を得ることを目的としている。
2023年度は、茨城県にあるJ-PARC物質生命科学実験施設のミュオンビームラインにおいてCu0.6Zn0.4Rh2O4のμSR実験を0.3Kの極低温まで行った。その結果、2K以下において遅い磁気ゆらぎを伴う磁気秩序状態が存在していることを明らかにした。また、この遅い磁気ゆらぎの強度が周波数のべきで変化することを見出した。これは、幾何学的フラストレーションの強い磁性体で見られる量子スピン液体状態における磁気ゆらぎで見られる振る舞いであり、この物質において幾何学的フラストレーションが存在することを強く示唆される結果である。また、本研究のために準備した密度汎関数法を用いたミュオンサイト計算法および内部磁場計算法を用いて、フラストレート磁性体ClinoatacamiteのμSRデータの解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、海外のミュオン実験施設におけるミュオンスピン回転/緩和実験を予定していたが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、計画どおりに実験を行うことができなかった。そのため、研究の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
国内のミュオン実験施設であるJ-PARC物質生命科学実験施設におけるミュオン実験を行う。また、並列コンピューターを用いて、ミュオンサイトの予測、および、μSRスペクトルのシミュレーションを行い、データの解析と論文化を進める。
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