研究課題/領域番号 |
20K03868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2022) 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (2020) |
研究代表者 |
石河 孝洋 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40423082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 水素化物 / 高温超伝導 / 組成・構造探索 / 進化的アルゴリズム / 第一原理計算 / マテリアルズ・インフォマティクス / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
2015年以降、高圧力下における硫黄水素化物、ランタン水素化物、イットリウム水素化物で-70℃を超える超伝導が相次いで観測され、2019年には、リチウム-マグネシウム-水素の3元化合物で200℃の超伝導が理論的に予測されたことにより、室温超伝導の候補として水素化物が脚光を浴びている。しかし、3元系以上の水素化物の組み合わせは膨大な数となるため、全探索は現実問題として不可能である。そこで本研究では、進化的アルゴリズムを基盤として物質科学とデータ科学を融合させた独自の物質探索手法を使って候補物質を絞り込むことにより、新規超伝導水素化物及び室温超伝導水素化物の発見を目指す。
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研究成果の概要 |
高温超伝導の候補物質であるK-Sc-H系について第一原理計算と進化的アルゴリズムを使って超伝導性の検証を行った。まず、系の安定組成及び安定構造を進化的アルゴリズムで同時探索する独自の方法論とその計算コードの開発を行った。これを150 GPaにおけるK-Sc-H系へ適用させた結果、実験で合成可能なエネルギー領域に含まれる準安定相としてK2ScHx (x = 42-46)が得られた。これらは全てバンドギャップの閉じた金属状態であり、超伝導性を示すことが確認できた。これらのうち最も高い超伝導転移温度を示すのはK2ScH43であり、超伝導転移温度は116 Kとなることを予測した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
室温超伝導の実現は社会が抱えるエネルギー問題・環境問題を改善するための重要な目標であり、ランタン水素化物で260 Kの高温超伝導が発見されたことによって室温超伝導の新たな候補のひとつとして水素化物が注目されている。本研究では研究例の少ない3元系に焦点を当てて、新規水素化物超伝導の探索を実施し、K-Sc-H系で100 Kを超える新物質を予測することに成功した。この研究で得られた知見や計算データは更なる高温超伝導物質の探索に活用できる。また、進化的アルゴリズムで新物質を発見できたことは物質科学分野だけでなく人工知能分野や産業界、一般社会にも大きな意義がある。
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