研究課題/領域番号 |
20K03869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
鴻池 貴子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (70447316)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 有機伝導体 / ディラック電子 / 分子性導体 / 軌道反磁性 / 磁気秩序 / バンド間磁場効果 / 磁化率 / 有機導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,3次元のバルク結晶でありながら圧力下でグラフェンと同様の線形分散を持つことが知られている有機導体を対象として圧力下磁化率とホール伝導度測定を行い,ディラック電子系特有のバンド間磁場効果による巨大軌道反磁性とバンド間ホール効果を実験的に検出し,その効果と関連性を明らかにすることを目的とする.本物質は,グラフェンとは異なり強相関電子系であることから多様な相図が得られ,圧力制御によって電荷秩序相・有限質量のディラック相・質量ゼロのディラック相を網羅的に研究できる唯一の物質である.この特性を生かしてグラフェンとは異なる独自の方向性を持つディラック電子の研究を行う.
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研究成果の概要 |
本研究では圧力下で線形分散を持つ有機導体alpha-(BEDT-TTF)2I3を対象とし,ディラック電子系特有のバンド間磁場効果による巨大軌道反磁性とバンド間ホール効果の検出,これらの関連性の解明を目的とした. 我々は反磁性を観測したものの試料一部の構造変化が懸念され,起源の断定には至らなかった.一方,最近見つかった常圧下ディラック電子系の類縁物質alpha-(BETS)2I3の磁気トルク測定を行い,特異な温度変化を観測した.これは低温でのディラック電子の反磁性の寄与を反映している可能性がある.また本物質において3.5 K以下で磁気秩序が形成される初めての証拠を得た.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では強相関有機ディラック電子系alpha-(BETS)2I3において特異な磁気トルクの振舞いが観測され,磁気秩序の形成を示す初めてのデータを得ることが出来た.強相関のディラック電子は低温で反強磁性秩序を示すことが理論的に示唆されており,本研究で磁気秩序が観測された事は学術的に意義深い.また相対論的ディラック電子の特異な振舞いは従来のデバイス中の電子とは著しく異なり,エレクトロニクス分野への応用においてその基礎物性の解明は社会的にも大きな意義を持つ.
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