研究課題/領域番号 |
20K03872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
折原 宏 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30177307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 負の粘度 / 液晶 / トポロジカル欠陥 / 乱流 / 負の粘性 / シミュレーション / レオロジー / 非平衡 |
研究開始時の研究の概要 |
負の粘性という奇妙な現象の探索は1990年代から磁性微粒子の懸濁液等で盛んに行なわれてきたが、初めて負の粘性が観測されたのは2015年に遊泳バクテリアの懸濁液においてである。ただし、観測された負の粘度の絶対値は水の粘度の10分の1と極めて小さい。今回、研究代表者らは液晶において絶対値が水の粘度の数10倍にもおよぶ大きな負の粘性を発見した。本研究ではこの負の粘性の起源を理論・実験の両面から解明する。
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研究成果の概要 |
負の粘度を持つ流体の探索は古くから行われていたが、我々は電場を印加した液晶においてレオメーターを用いて負の粘性を初めて観測することに成功した。本研究では液晶における負性粘度の発現機構を明らかにする。 液晶の配向場、流れの速度場および電場を変数とする方程式をオンサーガーの変分原理より導出し、有限要素法による3次元の数値計算を行った。印加電圧を高くすると、流れが速くなり、欠陥が生成されることが再現でき、定常せん断流下の乱流状態でのせん断応力を求めたところ、応力が負、すなわち粘度が負になっていることが確認できた。この負の応力は速度勾配が界面近傍で逆転することに起因していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、実験で観測されていた負の粘度がシミュレーションにより再現できた。この際に用いた運動方程式は極めて一般性のあるもので、ネマチック液晶であれば他の条件下の現象にも適用できる。また、本研究で負の粘度の発現機構を明らかにした液晶は非平衡状態にある流体で、最近ではアクティブマターと呼ばれ非平衡物理学の恰好な研究対象となっている。本研究の成果はこのようなアクティブマターに関する新たな学問分野の開拓およびその応用へとつながると期待できる。
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