研究課題/領域番号 |
20K03873
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐久間 由香 東北大学, 理学研究科, 講師 (40630801)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | モデル細胞膜 / 細胞膜流動性 / 膜粘度 / ベシクル / 膜流動性 / 脂質膜粘度 / 初期胚 / 細胞膜 / マイクロインジェクション / 相分離 / 膜流動 / 脂質膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生体膜の流動特性を支配する要因の解明を試みる。最近研究代表者は、生体膜のような不均一で球状の膜に適用可能な粘度測定法を開発した。これを用いてモデル生体膜の不均一性や非対称性などの条件を段階的に生体膜に近づけ、最終的には生きた生体膜で粘度測定を行う。これにより、生きて細胞骨格から力学的な揺動を受けている非平衡状態と、死んで平衡状態の膜の流動特性の違い及びそれをを決定づける要因を解明する。
|
研究成果の概要 |
細胞膜の流動性は細胞機能に重要な役割を果たすため、モデル脂質膜の粘度が測定されてきた。しかし、細胞膜には脂質やタンパク質だけでなく、糖タンパク質や糖脂質などの多糖鎖を持つ分子も含まれており、これらの分子が膜の流動性に影響を与えることが予想される。本研究では、高分子をグラフトしたモデル脂質膜の粘度を測定し、膜粘度が高分子密度の増加とともに数倍まで増加することを明らかにした。この膜粘度の増加は、高分子鎖間の接触相互作用に支配されていることを明らかにした。さらに、非生命と生命の膜流動性の違いを理解するために、線虫とホヤの未受精卵と受精卵の膜流動性を測定し、その違いを示すことに成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脂質、タンパク質、多糖類からなる細胞膜の流動性は、膜内の機能分子の輸送を通じて細胞機能を制御している。多糖鎖などの膜から伸びる高分子鎖は、膜の流動性に大きく影響することが予想されるが、その解明はまだなされていない。本研究では、高分子をグラフトしたモデル生体膜の膜粘度を高分子密度の関数として測定し、膜粘度が最大で数倍まで上昇することを見出した。さらに、 膜にグラフトした高分子鎖間の相互作用を考慮した理論モデルを立て、高分子鎖間の相互作用が膜粘度を上昇させることを明らかにした。本研究は、細胞膜の流動性制御を理解するための新たな知見を提供するものである。
|