研究課題/領域番号 |
20K03884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
及川 典子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40452817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 界面不安定性 / イオン液体 / 溶解過程 / 相分離 / 濃度揺らぎ / 界面張力 |
研究開始時の研究の概要 |
イオン液体の水への溶解過程において、溶媒である水にエタノールを混ぜることにより疎溶媒性を弱めると、イオン液体の液滴に自発的に穴が開き、ランダムな穴の生成・消滅が持続的に生じる現象 (アクティブホール現象)が起こる。このアクティブホール現象は新規な溶解過程であり、その機構はわかっていない。本研究では、主に流体力学的効果と化学ポテンシャル効果の2つの要因について検討しながら、イオン液体の溶解過程に見られるアクティブホール現象の機構を実験的に解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では空間自由度を制限した準1次元系の実験を行い、AHの基本的なダイナミクスおよび性質について調べた。エタノールのモル分率を制御パラメータとして溶解過程の相図を求め、界面を伴う溶解を示す部分溶解領域から拡散的な溶解を示す完全相溶領域への切り替わり領域でのふるまいを調べ、AH形成領域の前に、液滴の縁に周期的な波打ち(モード)が発現する領域が存在することを示した。またイオン液体にトレーサーを混ぜた実験により、AH形成にはイオン液体液滴中の流れが伴うことを明らかにした。実験結果に基づきAHの形成機構を提案し、AH発現およびその振動を3成分系の相互作用から説明することを試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イオン液体と水の相分離を利用した物質分離操作はイオン液体の重要な応用の一つであり、本研究の成果はイオン液体の応用研究へ貢献することが期待される。イオン液体は構成分子の種類や極性によって物性を制御することが可能であり、この自由度によって溶解現象の多様性および3成分系の相分離の臨界現象における新たな側面が明らかになった。AH現象は物質流が液滴のトポロジーを変化させるマクロな力に変換される化学モーターとみなすことができる。したがって、穴の生成の前駆現象となる不安定性を制御することが可能となれば、液滴を用いたアクチュエータなどの創成につながることが期待できる。
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