研究課題/領域番号 |
20K03909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
市口 勝治 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (90211739)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 磁場閉じ込め核融合 / プラズマ / 電磁流体力学 / 数値シミュレーション / 交換型モード / 大型ヘリカル装置 / 非線形遷移 / プラズマフロー / ヘリオトロン / 圧力駆動型モード / 非線形数値シミュレーション / 構造変化 / 大型ヘリカル装置(LHD) / 遷移現象 / 核融合プラズマ / 崩壊現象 / 電磁流体力学的(MHD)安定性 / 非共鳴モード |
研究開始時の研究の概要 |
現在、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置では将来の核融合発電を目指して、プラズマを良好に閉じ込めるために様々な実験が行われている。この実験では、ある条件でプラズマの状態が不安定となって急激に閉じ込めが劣化することがわかっている。そこで、本研究ではこの現象のメカニズムを数値シミュレーションによって解明することを目指す。特に、従来考えられてきた概念とは異なる新しい観点から解析を進める。そして、この不安定性のメカニズムを明らかにすることにより、急激な劣化をもたらさない条件を明確にし、核融合発電の実現に貢献する。
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研究実績の概要 |
これまで大型ヘリカル装置(LHD)での実験で観測されているプラズマ閉じ込めの崩壊現象の電磁流体力学的非線形数値シミュレーションを進めてきた。そしてその崩壊現象が最低次のモード数を持つ圧力駆動型不安定性で生じることに対するメカニズムとして、交換型モードから非共鳴モードへの非線形遷移が一つの候補であることを示してきた。さらに、この非線形遷移が、電流駆動の実験と磁気軸を内側に寄せる実験の両方での崩壊現象において起こりうることを明らかにした。 2023年度には、この解析をさらに推し進めるために、プラズマフローの導入を検討した。プラズマの巨視的フローを含む平衡を用いて同様の解析を行いたいと考えているが、現段階において巨視的フローを矛盾なく含む三次元平衡を計算する手法は開発されていない。そこで、三次元静止平衡を利用して巨視的フローを計算する手法の開発を進めてきた。この手法の開発においては、以下の仮定を用いた。すなわち、フローが定常的であること、磁気面上を流れ磁気面を横切らないこと、さらに、磁場に垂直方向の成分が磁気面ポテンシャルと磁場とのベクトル積で表現できることの3つを仮定する。そうすると、巨視的フローはHamada座標と呼ばれる磁気座標を用いることによって、一つの式で表現できる。Hamada座標を構築するには、磁気面形状の情報が必要であり、ここでは、三次元静止平衡計算コードであるVMEコードの出力を利用することとした。また、この表式では、2つの未定の磁気面関数の同定が必要であり、その決定には、実験データを用いることにした。これにより、1次元の観測データを三次元の全空間にマッピングできることになる。今回、この手法を利用して、LHD実験での観測結果との比較を行った。その結果、フローのプロファイルに関しては定性的な一致が得られているが、定量的な大きさには差が見られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形電磁流体力学的数値シミュレーションによって、大型ヘリカル装置で観測されている崩壊現象のメカニズムに関して、異なる2つの実験条件での崩壊現象が、一つのメカニズムの候補で説明可能であることが示されてきた。さらに、今回、このシミュレーションをより現実的な状況に近づけるために、プラズマフローの導入を検討し、実験でのフローの観測データの再現を検討できる段階へと進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今回、三次元平衡における巨視的プラズマフローの解析手法の開発を推し進め、実験での観測データとの比較を行える段階まで到達した。現時点では、フローのプロファイルに関しては定性的一致が得られているが、フローの大きさに関しては差がみられている。そこで、まず、このフローの大きさも含めて実験データを再現する手法の開発を行う。方針としては、これまで利用してきた仮定のうちで、磁場に垂直方向の成分に関するものを緩和して、新たな計算スキームを開発する。この手法を利用して実験データを正確に再現し、そのフローを含む非線形ダイナミクスシミュレーションを行う。この場合、計算した巨視的フローは初期摂動の一部として導入し、プラズマの挙動を追跡する。そして、このプラズマフローが非線形遷移に対してもたらす影響を明らかにする。
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