研究課題/領域番号 |
20K03914
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
仲野 友英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員 (50354593)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | タングステン / ナトリウム様イオン / マグネシウム様イオン / 電離断面積 / 再結合断面積 / 二電子性再結合 / 原子分子データ / 原子番号依存性 / TESPEL / 高電離金属イオン |
研究開始時の研究の概要 |
元素・イオンから発せられる輝線の強度は原子番号(Z)に対して系統的に変化する.この性質を利用し,Hf(Z=72), Ta(Z=73), W(Z=74)およびAu(Z=79)に対して,束縛電子数が11個/12個となるイオン(Wの場合63価/62価)の輝線の強度を理論・実験で比較し,一致の程度を原子番号に沿って系統的に追跡する.これによって(Wの場合)63価/62価間の価数の変化のしやすさを精度よく誤差付きで決定する. 価数の変化のしやすさは高温の核融合プラズマ中のこれらイオン(不純物)の量の導出に必要であるが,実用的に誤差の小さいデータは存在せず,本研究はこの要請に応えるものである.
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研究実績の概要 |
理論計算によるハフニウム,タンタル,タングステン,白金,および金の高電離イオン(束縛電子数12個のイオン=以降マグネシウム様イオンと呼ぶ=,および束縛電子数11個のイオン=以降ナトリウム様イオンと呼ぶ=)の3s-3pスペクトル線の発光強度を原子構造計算プログラムで計算した.これらの元素のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンの3s-3pスペクトル線の発光強度の比は電子衝突エネルギーが100 eVから10000 eV の範囲ではほぼ一定値をとり,さらにハフニウム,タンタル,タングステン,白金,および金と原子番号(それぞれ72,73,74,78および79)が大きくなるに従って,これらのスペクトル線の発光強度の比は0.62から0.57へと順に小さくなることが示された. この結果は,これまでに実績のあるタングステンだけでなくハフニウム,タンタル,白金,および金のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンのスペクトル線の発光強度の比の測定値から,電子衝突エネルギーに依らず,これらのイオンの密度の比を直ちに導出でき,理論計算値と比較可能であることを意味する. この結果を受けて,ハフニウム,タンタル,白金,および金のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンの密度比を計算するため,タングステンに対する計算スクリプトを拡張した.そしてこの計算スクリプトを用いてハフニウム,タンタル,白金,および金の二電子性再結合断面積および多段階電離断面積などの原子データの計算を開始した.ただし,計算には非常に時間がかかることとに加えて,結果の検証も必要である.現状,試行錯誤により計算を効率よく進める方法を模索している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ハフニウム,タンタル,タングステン,白金,および金のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンの3s-3pスペクトル線の発光強度の比の電子衝突エネルギーに対する依存性を原子構造計算プログラムで計算し,予想通りの計算結果が得られ研究の見通しが得られた.しかしながら,ハフニウム,タンタル,タングステン,白金,および金のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンの密度比を計算するために必要となる二電子性再結合断面積および多段階電離断面積などの原子データの計算に着手したものの,計算には非常に時間がかかり,計算結果が得られていない状況である.また,本事業開始前には想定されていなかったほどまで本務の業務量が増加したため,計算結果の検証が十分に行えていない状態である.よって,進捗は遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には本研究の中核となる二電子性再結合断面積および多段階電離断面積などの原子データの計算に着手した.2023年度には原子番号に沿って,ハフニウム,タンタル,タングステン,白金,および金のマグネシウム様イオンおよびナトリウム様イオンの密度比の計算結果を得ることを目標とする. ただし,計算時間が莫大であること,及び本務の業務量の増大のため,これまでほどに十分にエフォートを割り当てて計算結果を検証することが難しいことが想定される.このような状況下で本研究を遂行するために,計算機で計算を進めている間に本務を行い,あらかじめ決めた時間に計算結果を検証するなど,時間のやりくりを工夫しつつ本研究を推進させる.
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