研究課題/領域番号 |
20K03924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浮田 尚哉 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (50422192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 格子QCD / 数値計算 / 物理点 / QCD / 格子理論 |
研究開始時の研究の概要 |
格子QCDは、誕生以来カラー閉じ込めやハドロン物理の諸性質を定量的に明らかにしてきた。本研究目的は、物理量測定の更なる精密化を実現する手法の開発と整備である。特に、最近提案されたマスターフィールド形式と呼ばれる巨大物理体積を用いた格子QCDで有効な解析手法の開発を行う。 具体的に、以下3つの観点で遂行する。 (1) シグナルノイズ比の改善による統計誤差の削減、 (2) 離散化された時間と運動量の高解像度化、 (3) 格子QCDの計算時間の大半を占める反復法による線形連立方程式の解法の機械学習による加速化。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、誕生以来カラー閉じ込めやハドロン物理の諸性質を定量的に明らかにしてきた格子QCDを用いた物理量測定の更なる精密化を実現する手法の開発と整備である。3種類の手法を試みた:(1)格子QCDの計算時間の大半を占める反復法による線形連立方程式の解法(ディラック行列の逆行列計算)の機械学習による加速化、(2)シグナルノイズ比の改善による統計誤差の削減、(3)離散化された時間と運動量の高解像度化。特に、(1)は機械学習を初期残差の小さな初期解の推定に利用して、反復回数を減らすことで計算時間の削減を得る。つまり、機械学習前処理付き解法の提案である。これは、格子QCDに特化した技法ではなく、反復法による線形連立方程式の解法を利用する計算科学に広く応用できる普遍的な技法の開発にもなっている。 研究期間全体を通じて、格子QCDにおける物理量測定の精密化実現を目指した有限体積効果を無視できるマスターフィールド形式と呼ばれる巨大体積の格子QCD配位(PACS10配位)の生成と計算手法の開発、また数値実験による検証・改良を行った。 最終年度は、異なる3つの格子間隔のPACS10配位生成が完了したので、主に(2)シグナルノイズ比を改善する手法をハドロンスペクトルの計算に適用して、その実用性の検証を行った。この手法は、巨大体積向きで、理論的に体積が大きくなるほど高効率になる。実際、ハドロンスペクトルに対して高精度で連続極限操作を実行できることを確認した。 また副次的研究として、格子ゲージ理論で開発されたグラディエントフロー法の超対称理論への応用に取り組んだ。この手法は、正則化に依らない物理量の定義を可能にし、より一層の精密化が期待できる。ここでは、ヴェス・ズミノ模型と超対称QCDに関するフロー方程式の定式化、更に量子効果の紫外領域での振舞いを解析して、数値計算へ向けた基礎理論の整備を行った。
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