研究課題/領域番号 |
20K03927
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原田 正康 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40311716)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | パリティ2重項模型 / カイラル対称性 / 核物質 / 中性子星 / 状態方程式 / ヘビーハドロン / 高密度物質 / ハドロン有効模型 / カイラル不変質量 |
研究開始時の研究の概要 |
陽子・中性子等のハドロンの質量生成機構の候補には、カイラル対称性の自発的破れによる質量とカイラル不変質量があります 本研究では、申請者の研究実績に基づいて、(a)[模型の構成] 真空状態と通常原子核密度領域、及び、中性子星内部で実現される超高密度状態を記述するカイラル有効模型を構成し、 (b)[実験・観測との比較]その模型を用いて、原子核実験や中性子星観測等からカイラル不変質量に対する制限を得る手法を確立します。そして、質量生成機構解明への手がかりを得ることを主目的とします。さらに、(c)[予言]強い磁場をもつ中性子星(マグネター)内部の状態方程式等の物理量に対する予言を与えます
|
研究実績の概要 |
(1)ストレンジクォークを含むメソン効果を取り入れた高密度核物質の解析:2020年度に確立したパリティ2重項模型とNJL型クォーク模型の内挿模型(PDM-NJLクロスオーバー模型)において、パリティ2重項にストレンジクォークを含むメソン効果を含めた解析を実施した。そして、その効果が状態方程式を柔らかくすることを明らかにした。[Phys. Rev. C 106, no.6, 065205 (2022)] (2) PDM-NJLクロスオーバー模型のまとめ:2020年度から実施してきた内挿模型に基づく解析をレビュー論文としてまとめた。[Symmetry 2023, 15(3), 745.] (3) a0中間子効果の解析: 前年度の解析を継続し、a0中間子効果により状態方程式が硬くなることを明らかにした。結果をまとめた論文を執筆中である。 (4) スカラー中間子の質量の解析:NJL型クォーク模型に補正を加えることにより、a0中間子とK0中間子の質量を解析した。補正項が大きい場合には実験結果を再現できることを明らかにした。[PTEP, 2023, 033D01] (5)ヘビーバリオンのカイラル有効模型による解析:ヘビークォークを含むハドロンのうち、正パリティの基底状態と励起状態の両方を含むカイラル有効模型を構成し、その崩壊幅を解析した。そして、励起状態を5クォーク状態とすると、その崩壊幅が非常に小さくなることを明らかにした。結果をまとめた論文を執筆中である。;(6)テトラクォークのハドロン分子模型による解析: 前年度に引き続いて、テトラクォークを中間子2個の束縛状態とする模型の解析を実施した。; (7)テトラクォークのカイラル有効模型による解析:テトラクォークを記述するカイラル有効模型の構築とそれを用いた解析を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績概要(1)に記載したように、パリティ2重項模型とNJL型クォーク模型の内挿手法は、PDM-NJLクロスオーバー模型として確立し、レビュー論文を出版した。このレビュー論文には、内挿領域でのクォーク凝縮の密度依存性の決定手法、ストレンジクォークを含むメソン効果の解析も含まれている。よって、申請した研究計画の根幹部分は完成したと考えている。 a0中間子効果の研究に関しては、解析はほぼ終了しており、そのまとめの論文を執筆中である。 PDM-NJLクロスオーバー模型にストレンジクォークを含むバリオン(ハイペロン)を含める解析が進んでいる。 また、2020年度に[Phys. Rev. D 102, 114004 (2020)]に出版した、ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を、励起状態バリオンを含むように拡張した解析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で研究が計画通りに進まない部分があったため、研究計画書での計画よりも1年遅れ、2023年度が最終年度となる。2023年度中に下記の3項目を論文として出版することを計画している。 (1) PDM-NJLクロスオーバー模型へのa0中間子効果の解析 (2) PDM-NJLクロスオーバー模型にハイペロンを含めた模型の構築 (3) ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を用いた、励起状態バリオンの質量と崩壊幅の解析
|