研究課題/領域番号 |
20K03935
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
丸吉 一暢 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (30781942)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 超対称性 / 場の量子論 / 可積分系 / 量子シミュレーション / ディフェクト / レンズ空間 / 超共形場理論 / 素粒子論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、4次元超対称理論と可積分系の間の様々な関係が明らかになってきている。このような関係は超対称理論の量子論的振る舞いの解明に役立つが、適応できる超対称理論の範囲は限られており、部分的にしか研究が進んでいない。本研究は、超対称理論での外的な作用であるディフェクトに着目することで、超対称理論と可積分系の間の様々な関係を統合する。これにより超対称理論への適応範囲を大幅に拡大し、強結合な超共形場理論でのディフェクトの振る舞いを解明する。これは、従来困難とされてきた超共形場理論のスペクトラムや真空構造等を探る突破口となるだけでなく、可積分系に対しても多くの見地が得られることが期待できる。
|
研究実績の概要 |
令和5年度は、令和4年度に引き続き4次元レンズ空間上のN=2超対称ゲージ理論のディフェクトと対応する可積分系の研究を行った。レンズ空間上の理論でのディフェクトを含んだ分配関数を計算し、対応する可積分系のL演算子を用いてディフェクト分配関数を表した。また、ゲージ理論と可積分系との新たな対応関係の発見を目指し、近年発見された四面体方程式(ヤン・バクスター方程式の3次元バージョン)の解に着目し、そのゲージ理論としての対応物を探求した。
4次元N=2超共形場理論であるArgyres-Douglas理論の、N=1超対称性を保った変形を考察した。ある変形の場合には低エネルギーで自由場のように振る舞うことを示し、またこの事実を利用して、随伴表現にある場を含んだN=1超対称ゲージ理論の双対性を新たに発見した。具体的には、N=1超対称性を持つSU(N)ゲージ理論に随伴表現の物質場が結合した理論と、Argyres-Douglas理論の大域的対称性をゲージ化した理論は同一の低エネルギー固定点を持つことを予想し、超共形指数などの物理量を計算することで双対性を確かめた。
また、研究課題に関連した国際研究会"QFT and Related Mathematical Aspects 2024"を開催することで、関連する分野の進展を本研究に取り入れた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように研究は計画通り進んでいる。また、当初予定していなかった超共形場理論の性質や変形についての有益な結果も得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在研究中のレンズ空間上のゲージ理論でのディフェクトと可積分系の関係をさらに広く調べる。また、ディフェクトとHitchin系の関係を差分演算子に着目して明らかにする。
また、昨年度後半から始めた四面体方程式の解に対応するゲージ理論に研究の方向性を広げ、ここでもL演算子がゲージ理論のどのような演算子に対応するか調べる。
さらに、研究課題に関連した研究会の開催経費として使用することを計画している。
|