研究課題/領域番号 |
20K03945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中性子星内殻 / 超流体音波 / 中性子過剰核 / 中性子捕獲反応 / 密度汎関数理論 / 対凝縮エネルギー / 対移行強度 / エントレインメント効果 / 中性子捕獲反応理論 / 原子核密度汎関数理論 / 中性子過剰原子核 / 近接効果 / 励起状態間遷移 / 原子核密度汎関数 / r過程元素合成 |
研究開始時の研究の概要 |
中性子星や重力波などの観測により研究の進展が予想されるr過程元素合成や中性子星の諸現象には、中性子過剰なエキゾチック核子多体系に現れる特徴的な物理機構が反映していると考えられる。本研究では、最新の不安定原子核研究の成果を反映することができる原子核密度汎関数理論、特に量子多体相関を表現できる連続状態QRPA理論を用いて、r過程での中性子直接捕獲反応、および、中性子星内殻物質の巨視的物性(弾性率、熱伝導率)を記述する。これにより、中性子過剰核や中性子超流体に現れる種々の特徴的な励起モードがr過程元素合成反応や中性子星内殻の地震動や熱伝搬に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
1.中性子星内殻における中性子超流体の研究:前年度に引き続き、a.中性子対相関の対凝縮エネルギーの定量化手法の開発、b. 中性子超流体の集団励起と中性子過剰原子核の相互作用の研究を遂行した。 a.対移行演算子の強度関数と対凝縮エネルギーの関係を示す学術論文を出版した。また、(He-4, He-6)反応実験と比較検証するための手法について検討を進めた。 b.中性子内核物質において中性子過剰核と超流体音波との相互作用をモデル化するボーズ粒子模型を構築し、音波波動関数の空間的振る舞い、音波―原子核の散乱位相差、および相互作用行列要素を記述した。微視的な密度汎関数+線形応答計算と比較検討を行い、両者の相違について分析した。同一の相互作用行列要素を与える条件から、ボーズ凝縮模型のパラメータが決定できることを見出した。
2.原子核密度汎関数理論による中性子過剰原子核の中性子捕獲反応の微視的記述: 前年度の成果を発展させ、中性子・陽子ともに開殻配位にある原子核を記述できるよう、対相関効果を取り入れた理論的拡張を定式化し、数値計算コードも完成させた。この拡張理論を用いて中性子過剰Zn,Ge原子核を対象とした数値分析を進め、4重極、8重極集団振動に関わる新たな共鳴捕獲が中性子捕獲に影響を与えることを見出した。成果の一部を国際学会で発表した。また、中性子過剰炭素原子核における中性子対相関に起因して生じる準粒子共鳴に関する学術論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記1-aおよび2に関して、本年度大きく進展し重要な研究結果を得つつある。1-aに関しては、ボーズ粒子模型のパラメータ決定方法が機能することを見出し、その成果を学術論文として発表すべく執筆を進めているが、詰めの分析が必要となり、投稿に至っていない。2に関しても、4重極・8重極の集団振動状態が中性子捕獲に大きな影響を与えるという新しい知見を得て論文執筆を進めているが、投稿に至っていないことから。令和6年度中に論文発表を行うため、研究期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
上記1-bと2の研究に関して、研究結果の細部についての確認、結果の解釈などについて研究を行うとともに、論文執筆を進め、令和6年度中に論文を発表する。
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