研究課題/領域番号 |
20K03955
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島田 英彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (10625221)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 超弦理論 / M理論 / 行列模型 / AdS/CFT対応 / ゲージ理論 / 弦理論 |
研究開始時の研究の概要 |
統一理論の有力候補である弦理論の課題は相互作用が強い場合の理解である.M理論(弦理論のある強相互作用極限)はそれに本質的な役割を果すが, 一方で量子論レベルでの定式化が確立しておらず, 量子効果を信頼できる形で計算することすら難しい.本研究では定式化の2つの候補「行列模型」および「AdS/CFT 対応」のそれぞれで物理量を独立に計算し, 結果を比較することにより計算結果の信頼性を担保しつつM理論の量子的性質を調べる枠組みを得ることを目指す. 調べる物理量はM理論の重要な自由度である膜の振動スペクトルへの量子補正と膜の分裂(合体)による相互作用である.
|
研究成果の概要 |
ABJM理論はM理論と双対なAdS/CFT対応を与える。M理論の膜自由度はABJM理論のモノポール演算子と対応する。膜自由度に対応する重い演算子(H)と重力場に対応する軽い演算子(L)を含むHHL相関関数を調べた。結果は超幾何級数による簡明な表式となる。ゲージ理論側では全ての演算子がBPSな場合の局所化の方法と大角運動量近似のみによる方法がある。またM理論の膜自由度を記述する世界面上の理論について、新たな異方的スケール対称性があることを見出した。これは膜の拡がりの有無に応じて自発的に破れるのだが,同様の異方的スケール対称性及びその破れを示す厳密に解ける理論を見出しその性質を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
統一理論の有力候補である弦理論の最大の課題は非摂動効果の理解である. 非摂動効果で中心的役割を果すM理論の量子効果を理解するのはそのために重要である. 定式化の2つの候補「行列模型」および「ABJM理論」のそれぞれで物理量を独立に計算する枠組みを推し進め, 特にHHL相関関数と呼ばれる量を計算した. さらにM理論の膜自由度の理論を規定する新しい異方的スケール対称性を見出しその対称性を持つ理論の雛形として厳密に解ける模型を見出した. M理論の量子効果の理解に向けての進展であると共に, 幅広い応用を持つ異方的スケール不変な理論の性質の理解に向けての進展も得られた.
|